■藤井聡太が語る戦略論のエッセンス:『考えて、考えて、考える』から
1 最善手に近い手を探して選択する
将棋のことは、よくわかりませんが、米長邦雄の本は大切にしています。藤井聡太という名前は、どこかで聞いたかもしれないという程度の認識でした。何で、この本を買ったのか思い出さないままに、処分しようかと思ってパラパラめくるうちに、思い出しました。
19歳の時の対談集『考えて、考えて、考える』に、プロの発想が語られています。[基本的に「最善手に近づく」のが、勝ちに近づくのとほぼイコールなんです。もちろん勝つことが最終的な目標ですが、それを最初から意識する必要はない](p.82)という考えです。
▼勝ちたいという気持ちじゃなくて、「一つ一つの局面に、なるべく最善に近い手を探して選択していきたい」と思っています。将棋で負けるときには、必ずどこかで自分が悪手を指している。逆にその悪手を指さなければ、負けがそれだけ遠ざかるというか、負けにくくなる。 p.48
2 初めて形成が動いたところがポイント
負けないようにするために、何が必要なのか、藤井聡太の考えは、驚くべきものでした。[負けた将棋で一番気になる点は、最初に形成が傾いたのはいつかということです](p.31)。まさにその通り、そのままビジネスのケーススタディの指針になります。
▼終盤で形成が決まってしまったり、あるいは逆転したりといったことも将棋にはあるんですが、それより前の、初めて形成が動いたところ、優劣がついてしまったところがどこかというのは、振り返りでいちばん重視する点です。 p.31
では、振り返りをどうするのか。[その形成の均衡が崩れた局面は、どうして崩れたのか、その要因を考えます。それを言語化することで、他の局面に応用できるようになるからです。一局一局の中でも、そういったポイントを重点的に振り返]ります(pp..31-32)。
3 言語化して直感の根拠を支える
ポイントは、形成が動いたところを見出し、それを言語化することです。米長邦雄は「カンが読みを超える」という言い方をしていました。[人間には直感があるので、そういう言語思考のプロセスを挟まなくても、「パッと見える手」がやはりある](p.124)。
それを[言葉に置き換えてみることで、より思考が明確になると思うので、意識して行っています]、[直感的に思ったことを、「その理由は何だろう」と改めて考えるんです](p.124)。これがエッセンスでしょう。当然ながら、将棋に限った話ではありません。
▼言語化して、直感の根拠を支えてあげるというイメージです。直感というのはすぐに言葉にできないけれど、何らかの理由、方針に従って導き出されているはずなんです。それを言葉にできれば、より考えがスムーズになるのかなと思っています。 p.124
こうやって[方針が決まったら、「相手はこの後にこう来るかもしれないから、そうしたらこうしよう」と先を読んでいきます](p.124)。以上が一番のポイントでありエッセンスになります。戦略論を読んで、さてどうするかなどと考える必要はありません。
