■本の読み方とカード方式:渡部昇一『知的生活の方法』から

     

1 本を読むときの基本的方法

梅棹忠夫の『知的生産の技術』を読んだ後、そういえばと思いついて、渡部昇一の『知的生活の方法』を手に取りました。この本もベストセラーになった本です。この二冊を読むと、いまでも知的な活動について、ヒントになることがあるだろうと思います。

渡部は3章で、本を買うことが大切さと、カード・システムの問題点を示しました。重要なポイントです。[ちょっとしたことをカードにとるだけでも、非常な精神的努力と実際のエネルギーが要る。第一、読書が中断される](p.74)ということになります。

必要な本は購入して、本に印をつけていくほうが効率的です。読み返すとき、[印のついたところをさっさと拾ってゆくだけで、だいたい全部わかる]ので、最初に二週間かかって読んだ本が、一時間程度の読書で[内容をすっかり思い出すことができ]ます(p.75)。

     

2 専門的研究の場合

カードに必要事項を記録していくよりも、本に[自分の好きなように印をつけたり、ちょっとした感想を書きこむ](p.74)ほうが負担がありません。[知的生活としてものを読む場合、おっくうになるようなことをしないのが賢明]だという価値観があるのです。

[本を買うのも、時間の経済という要素がいちばん大きいことになる]、[一冊分のカードを取る時間と努力で、二十冊の本を読んで要所に赤線が引ける](p.111)でしょう。これが本を読むときの原則になります。ただし[専門的研究の場合は別](p.75)です。

渡部はドイツ留学中に、指導教授からテーマを絞るように言われ、カード方式をすすめられました。[対象に選んだ文法家の書物の内容を、項目ごとに分けて全部書き写す][そのほか、それに関係したことや気づいたことはなんでも書き込んだ]のです(p.130)。

     

3 カード方式のバリエーション

専門分野の場合、論文の「核」が問われます。[「そうしてカードを作って較べながら考えていれば、偉い学者もその著者の中でいいかげんなことを言っているのに気づくだろう。そこが論文の出発点になる」というのがシュナイダー先生の予言であった](p.130)。

研究の対象が変われば[カードはすっかり入れかわる]、[眼前にあるテーマを、プロの研究者としてやる場合には、これに頼るより仕方がない]、[研究発表を前提としているようなときは、どんな細かい点でも正確に書き留めなければならない]のです(p.132)。

研究の場合、カードは[本なり論文になってしまえば、いちおう、「ご用済み」]になります(p.133)。一方、研究でない場合、別のアプローチもあります。[出典のページと内容を一、二行書いて卓上ファイルの同じところに投げ込んでおく]方法です(p.138)。

宗教に関して奇妙だと思ったら、[本のタイトルとページと、その奇妙さを小さなカードに一、二行書いて、卓上ファイルの中の宗教というところに入れておく](p.138)、[一月一、二回ぐらい](p.140)のペースになります。これなら実践できそうです。