■「リーダー」と「マネージャー」という言葉:IT業界の話を聞いて
1 「リーダー」よりも「マネージャー」
先日、IT業界で長年仕事をしている人から、マネージャーという言葉とリーダーという言葉の違いについて、面白いお話を聞きました。IT業界以外の人とは、普通にリーダーという言葉を使っている人たちですが、しっくり来ていない人が、かなりいるようです。
「リーダー養成研修」よりも、「マネージャー養成研修」のほうが、人が集まるとのことでした。思い当たります。「プロジェクトマネージャー」は全体の責任者で、「プロジェクトリーダー」は部門・現場の責任者ですから、マネージャーのほうが階層は上です。
リーダーという言葉は、IT業界の人たちに対して注意して使わないと、一般的な意味とは違ったニュアンスを感じ取られますということでした。反応が悪くなるのなら、あえてリーダーという言葉を使いませんから、いまもこの雰囲気が残っているそうです。
2 1980年代にリーダーに転換
10年以上前に、IT業界の人たちとマネジメントのお話をすると、用語の使い方がちょっと変だという声を聞いたことがありました。その時も、プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーでは、まったく扱いが違うからという話があったのを思い出します。
象徴的な用語があると、両者の対比が印象に残るのかもしれません。もともと「マネージャー」という言葉が使われ、それに代わって「リーダー」が広く使われるようになった経緯があります。ジョアン・マグレッタが『なぜマネジメントなのか』で書いていました。
1980年代、GEの経営者だったジャック・ウェルチが、[管理と官僚主義の匂い]があるため[意図的に「マネジャー」という呼称を拒否した]のです。代わりに使った[「リーダー」という呼びかけは、直ちに共感を呼んだ]のでした(p.21)。
3 リーダーシップという言葉と連携
多くの業界では、リーダーという用語が一般化しています。「マネジャー」「マネージャー」という言葉はあまり使われなくなりました。全体の責任者のことをマネジャーとは言わないはずです。逆に、違和感を与えることになります。リーダーというでしょう。
一つの用語でも、象徴的な言葉の場合、大きな影響を与えます。リーダーという言葉は、リーダーシップという言葉を導き、リーダーのあるべき姿を議論する契機になるキーワードと連携するのです。こうした機能や作用がマネージャーという用語にはありません。
もともと「シップ」というのは、「らしさ」を表すものだとのことです。リーダーらしさとは何かを、リーダーシップという言葉が問うてきます。リーダーのあるべき姿を考えることによって、優れたリーダーになるためにどうすべきかを考えることになるのです。
IT業界でもいずれ、リーダーとリーダーシップという言葉が違和感なく受け入れられるでしょう。若い人たちや、企業幹部の人たちとの会話では、違和感を感られませんでした。しかし集客に違いが出るなら、影響はあります。注目していきたいと思いました。
