■ゲーム業界での「誰に、何を、どのように」:小沼竜太『伝え方は「順番」がすべて』から
1 ターゲットの再定義が必要
たまたま手にした、小沼竜太『伝え方は「順番」がすべて』という本は、ゲーム業界の人の本でした。ここで扱われているゲームについて、タイトル名を聞いても一つも知りません。縁のない世界の話です。それでも、同じ原理があるなら参考になるでしょう。
この本では、「誰に、何を、どのように」を原理としています。この点ではベーシックな考え方です。「誰に」を考える際に、ターゲットの再定義が必要だとあります。性別・年齢などの属性が有効ではなくなっているということです。その通りでしょう。
[伝えたい人を選んで情報を伝えることなどできない][ターゲットという概念で伝える相手を考える・選ぶということが、もはや不可能]ですから、「発信する情報に興味を持ち、好意的に受け容れ、拡散してくれる人」を考えるべきだという主張です(p.38)。
2 「受容者」というターゲット
小沼はトライブというマーケティングの用語を使います。同じ価値観や好みを持つ小さな集団のことです。こうしたトライブはたくさんあって、一人が複数の集団に属します。そのため、ある人が口コミに乗せてくれると、それが複数の集団に伝播するのです。
複数のトライブのなかの、どこに伝達すれば伝播してくれるのか、その最大化をしてくれる人たちが「受容者」であり、これが「誰に」のターゲットになります。たいてい最初は、自分が受容者です。さらにユーザー調査で探っているというアプローチがあります。
ユーザー調査をする場合、[何にお金を払い、何に時間を費やすのか。それを丹念に調べていくこと](p.54)、さらに購入者も対象にすること(p.56)がポイントです。興味なしの人は受容者の対象にはなりません。こうした主張はベーシックなものといえます。
3 基本的なアプローチは同じ
次に、モノ・サービスの持つ魅力のうち、「何を」伝えるべきでしょうか。小沼は商品の理解が大切だと言い、「テーマ、構造、コンテクスト」を理解すべきだと主張します。テーマとは作り手の意図・狙いのことです。レッツノートの事例が示されています。
レッツノートの要素は、①壊れにくいこと、②長時間使用が可能なこと、③端子が多いこと、④軽いこと、⑤リモート対応していること、⑤ビジュアルとサウンドを省力化していることです。これらが「ビジネスにおける信頼性」というテーマになっています。
構造の理解には、要素を把握し、要素間の関係を把握し、類型化することが必要です。コンテクスとは、商品を取り巻く状況のこと。商品の背景・現状、関係者・作り手の状況、社会的位置づけなどが問われます。以上は基本的手法なので、詳細な説明はありません。
「どのように」がメインの部分だとありますが、ゲーム業界のことなので、ズレが大きくなります。各分野ごとに調整が必要でしょう。しかし別世界のような業界でも、基本的なアプローチは同じようです。どう使いこなすのかが問われることになります。
