■赤ペン先生方式と理屈で教える方式:ビジネス文のセミナーテキストについて
1 言葉によって教える
ビジネス文を書くための講座を作っていただいて、昨日テキストを提出しました。いまミスタイプ等のチェックも終わり、そろそろ印刷に回ることになりそうです。作成の段階で、いくつかのご意見がありました。よくあることですし、以前にも触れたことがあります。
知識を教えるより、赤ペン先生方式のように、事例を添削していく方法が良いのではないかというご意見でした。若桑みどり『イメージを読む』にも、師から弟子へ現場で継承する工房方式と、知識で教えることを重視する大学方式の対比がありました。
▼プラトンがアカデメイアを作って、知的なことを会話によって知性から知性へと教えたように、芸術も知的なもので、身体で教え込むものではなくて、知性によって言葉によって教えるものだとレオナルドは思っていたのです。 p.120:『イメージを読む』単行本
2 理論の裏づけは不可欠
先に理屈で教えておいて、それを実践するほうが良いという発想がレオナルド・ダ・ヴィンチにはあったようです。たぶん、そのほうが王道です。理論だけではダメでしょうが、理屈がわからないで、添削方式だけでは、成果が上がらないように思います。
今まで、かつて教えた卒業生が数十人訪ねてきました。かかわり方には濃淡があります。かなりあれこれ聞いてきた中には、いわゆる具体的素材に関しての添削を求める人が多くいました。それは必要です。しかし、そこでとどまる場合は、たかが知れています。
たまたまその時に成功して、昇進していった教え子は何人かいました。しかし伸び悩むのは当然のことでしょう。自分で考えて、自分流の工夫を組み込んで自力で仕事をしていくには、理屈がわからないと、どうにもなりません。理論の裏づけは不可欠です。
3 理論は実践の前提
ビジネス文のセミナーですから、事例となるビジネス文を掲げて、それを修正して、どこがいけないのかを解説するのは、もしかしたら標準的なことかもしれません。しかし、貴重な講義時間の中に、これをたくさん入れるわけにはいきません。
素材にするにしても、ごく一部を切り取るのにふさわしいとは言いかねます。逆に、応用範囲の広い文章なら、それが良いのです。そこで理屈がわかった後、ビジネス文を書くなら、そのほうが効果が上がります。これは教え子で、何度も見てきたことです。
何度もやり取りをして、赤ペン方式で指導して、それが注目された方もいます。しかし、引退する前に、あれは効果が薄かったとおっしゃったことがありました。直すほうは、それなりに苦労します。その苦労の甲斐がなかったというニュアンスでした。
日本語の文章を書く場合、どう書くのか、ルールを示すことがあまりありません。あったとしても、一行40字以内とか、オモチャのような話でした。各ルールが関連性をもって、基礎事項が並んでないと、実力がつきません。理論は実践の前提になるはずです。
