■巨大なGEのイメージと、ジャック・ウェルチという存在

     

1 分社化されたGE

ちょっとした誤解かもしれませんが、現在でもGEが巨大なコングロマリットであるかのようなイメージがあるようです。いまは分社化されて、本体は航空宇宙事業になっています。かつて日本企業の目標だった会社は、もはや栄光に満ちた存在ではありません。

ジャック・ウェルチという存在が異常に大きくなっていました。20世紀最高の経営者という言い方がされたこともあります。『ウィニング 勝利の経営』という本が定番の経営書ともいわれてきました。20年もの間、GEのCEOでしたから、巨大な存在になりました。

ウェルチの言葉は、古くなってはいないのです。スレーター『ウェルチ リーダーシップ31の秘訣』の項目を見てみると、王道の言葉が並んでいて、逆に戸惑う気持ちになります。21世紀になってもまだ、お手本の会社のはずでした。どうしたのでしょうか。

      

2 後継者は巨大帝国GEを運営できたのか?

『ウェルチ リーダーシップ31の秘訣』の解説で、長谷川洋三は、ビジネスウィーク2000年11月6日号での指摘を引用しています。「問題はウェルチの後継者がまるでローマ帝国のようなGEを運営していけるかどうかだ」というものでした。重要な指摘です。

巨大すぎる存在となったカリスマ経営者が作った会社を、普通の人では運用しきれなかったということかもしれません。優秀だと内外から評価されたイメルトCEOでも、どうにもならなかったということでしょうか。イメルト経営にも失敗がありました。

しかし他の人が経営をしたからと言って、うまく行ったかどうか、いまとなっては分かりません。気になったのは、イメルト退任の際に、日本ではまだGEは学ぶべき存在と扱われていた点です。アメリカとは、ずいぶん様子が違っていて、妙な感じがしました。

     

3 他の学問…哲学・法律・歴史などから学ぶ

GEが成功モデルだと思っていた人に、もはや成功モデルではないのだという話をしたときに、少し長いレンジでモノを見たほうがいいかもしれないという話をしました。継続した成功が達成されていないと、成功の方程式は見えてこないのかもしれないのです。

ウェルチの本は、いまでも参考になるかもしれません。実際に、いいことが書かれています。少なくとも、そう感じる言葉が並んでいるのです。しかし、本当の核心にあたる言葉が何であるか、抽出できるでしょうか。おそらく言葉だけでは、判断は無理でしょう。

自分の経験との対比や、歴史的な検証が必要だろうと思います。しかし他人の経験から学ぶのは、そう簡単ではないでしょう。もしかしたら定番の本など存在してなくて、各人がそれそれの状況に合わせて学ぶしかないのかもしれません。これも、心ぼそい話です。

たぶん他の学問、とくに哲学とか法律とか、あるいは歴史もそうですが、こうした学問から学ぶ必要があるのではないでしょうか。ルールをどう体系化するのか、どんな仕組みが効果的なのか、こうした点では哲学や法律は、経営学よりも先を行っているはずです。