■業務の分析を実施してから生成AIの導入を
1 生成AIの業績への貢献
生成AIの利用によって、実際の業績が向上した事例が思いのほか少ないというレポートがあります。これはアメリカ企業中心の調査だったかと思いますが、日本でも変わらないでしょう。実感としても、その通りだと思います。期待が大きすぎるようです。
文章を読みこんで、適切な回答をするのを見ていると、生成AIの進歩がすごいものだと思います。ところが、それで業績に結びつかないのは、業務に直接的な利用をしていないからだという話になりがちです。たしかに、その通りの面もあるかもしれません。
しかし、生成AIが業務をどうサポートしてくれるのでしょうか。業績が向上するようにサポートしてもらうには、業務を分析して、こうしてほしいという要望を組み込まないと、うまくいかないだろうと思います。その最初の分析をするのは、人間のはずです。
2 業務マニュアルによる業績向上
業務マニュアルを軽視する組織では、業務マニュアルを作ったところで、業績に変わりがないという発想をする人がいます。そういうことがありうるのも確かです。それは失敗した業務マニュアルを作った場合です。成功すれば、必ず業績は上がります。
最終的に業務マニュアルの成功と失敗は、業績が良くなるか、ならないかの違いかもしれません。いずれにしても、業務マニュアルを作ろうと意識するだけで、改善の視点がでてきます。現状のまま記述しようとしても、不合理な点が見つかるのが普通です。
記述しようとするからこそ、業務がどうなっているのか、確認作業をすることになります。地道に、業務を見ていけば、あららと驚くような混乱状況が見つかったり、二重の確認をしていたり、ムダなプロセスになっていたりと、こうしたことに気づくのです。
3 業務を分析してから生成AIの導入が王道
業務マニュアルを作ろうとすれば、業務を確認することになります。その際、マネジメントの視点をもって、効率化や快適化のための業務を構築していこうということになるでしょう。当然、慣れが必要ですが、業務を分析するという意識を持つことが大切です。
こうして業務マニュアルを整備していくと、業務の理解が深まります。そこまで行ったなら、生成AIをどの場面で使ったらよいのかが決められるようになるはずです。生成AIを業務に関して導入しようとするなら、このくらいのことは、前提でないと困ります。
しかし、業務マニュアルが整備されていない組織がきわめて多いのです。あえて業務マニュアルを作ろうという気にならない人たちが、たくさんいます。業務マニュアル作成の提案は、必ずしも歓迎されません。結果として、生成AIの導入でも苦労します。
業務を分析せずに生成AIを導入しても、現時点では効果は期待できません。圧倒的な技術進歩があれば、現在の常識は変わりえます。それを期待している組織が実際に存在しているようです。後にどう評価されるのか、生成AIの進歩次第ともいえるでしょう。
