■ビジネスの把握:業務の分析方法 その2

 

1 時間の使い方を記録

私たちは自分の仕事を把握するときに、業務時間をどういう風に使っているかを知ることが必要になります。これは記録してみないとわかりにくいものでしょう。自分の仕事がどういうものであるかは、投入している時間でかなりの程度分かってしまいます。

[知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を記録することである]。これはドラッカーが1966年に書いた『経営者の条件』にあるものです。現状把握する目的は成果をあげるためであり、そのためには時間を記録する必要があります。

ここでいう「知識労働者」とはどういう存在でしょうか。1950~60年代なら何をしているかを聞かれれば「GEで働いている」とか「シティバンクにいる」と組織名で答えたはずですが、今や「冶金学者です」とか「ソフトウェアの設計です」というのが答えです。

組織名でなく、自分の専門で答える仕事人をドラッカーは「知識労働者」と呼びます。知識労働者が成果をあげるために、時間を管理する必要があるのです。[今や唯一の意味ある競争力要因は、知識労働の生産性](『プロフェッショナルの条件』)になっています。

 

2 自由になる時間は多くない

個人の生産性を上げて、組織を発展させるためには、一人ひとりの時間の使い方を管理することが必要です。このとき時間の管理をする責任は本人に任されます。業務時間の時間配分の記録を活かして改善・改革していくのは本人しかいないということです。

▼時間の記録の具体的な方法については、気にする必要はない。自ら記録する人がいる。秘書に記録してもらう人がいる。重要なことは、記録することである。記憶によってあとで記録するのではなく、ほぼリアルタイムに記録していくことである。 (『プロフェッショナルの条件』p.126、以下も同書から)

記録に基づいて、不要な仕事を捨てていきます。(1)やめたら困ることが起こるかを基準に仕事を判断し、(2)他の人が代替可能かどうかを確認し、(3)自分が他者の時間を浪費していないかを検証する、この3つが必要であるとドラッカーは言います。

注意すべきことは[時間浪費の原因となっているものを容赦なく切り捨てて行っても、自由になる大きな時間はさほど多くない]点です。[時間管理の最終段階は、時間の記録と仕事の整理によってもたらされた自由な時間をまとめること]が重要になります。

 

3 時間は制約要因

業務改革といっても、組織だけが対象ではありません。個人に成果をあげてもらうことが必要です。組織と個人の関係をどう調整するかが鍵になります。組織の目的と個人の成果が同じ方向を向くように、ベクトルを合わせて仕事をしていかなくてはなりません。

何を基準にしてベクトルを合わせるかといえば、仕事の質ということになります。ドラッカーの言葉で言えば、「知識労働者の仕事の質」が基準です。組織の目的を明確にして、具体的な目標を決め、それを達成するための手段を決めていくことになります。

▼時間は稀少な資源である。時間を管理できなければ、何も管理できない。その上、時間の分析は自らの仕事を分析し、その仕事の中で何が本当に重要かを考えるうえでも、体系的かつ容易な方法である。 (『プロフェッショナルの条件』p.135)

時間の管理が重要なのは、時間が「制約要因」だからです。[あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは、最も欠乏した資源である。それが時間である](p.119)。組織的に各人の時間を記録することが、業務の現状把握の基礎になります。

記録に基づいて仕事を見直すことが、業務の見直しの基本です。[自らの組織、自分自身、あるいは貢献すべきほかの組織に何ら貢献しない仕事に対しては、ノーということ](p.127)、[その結果、誰でも成果と貢献への道を歩める](p.135)ことになります。

(この項、続きます。)