■堺屋太一のプロデュース「成功の方程式」 2/2

 

1 プロデューサーが描くべき基本構想

堺屋太一のプロデュース法は10段階からなります。(1)目的を明確にして共有し、(2)コンセプトを確立し、(3)全体イメージをストーリーに描く。(4)それを知らしめるためにシンボルを立てる。(5)黒字化するために全体計画を練ること。ここまでが前半です。
【プロデュース「成功の方程式」1/2】

6番目は基本構想を描くことです。ここから[プロデュースの後半、実施段階になります]。決めなくてはいけないことは、①組織・人員配置、②予算、③空間構想(配置のマスタープラン)、④時間設計(マスタースケジュール・工程表)、の4つです。

まず、どのような組織(会社・役所)に参加してもらうかを決めていきます。このとき[人材に頼ってはいけません]。圧倒的な人材ばかりが集まるわけではないからです。特別でない人達で成功することを前提にします。現実を見る必要があるのです。

続いて予算について、[建設費はどれくらいにするか、運営費はどれくらいにするか、どれを目玉商品、シンボルにして重点を置くか、ということをはっきりと決める]。さらに、[どういうところに何を配置するかという空間構想を練ります]。

また、[時間設計が後置されると必ず失敗します]。[時間がかかるのはソフトウェアです。職員・要因への訓練を間に合わせるというのも、なかなか難しい]。のんびりやれないのです。博覧会が[開会するときに立派で美しくなっていなければいけません]。

こうした基本構想はプロデューサーが描くべき事項です。[実は、これが大事なところです]。この[段階で初めて図面が出てきます]。これ以降、プロデューサーの描いた図面にそって進みます。次の基本計画というのは[全部プロ、専門家の仕事です]。

 

2 成功の鍵を握る調整と実行のための段階

7番目に基本計画をつくります。[総合プロデューサーが建設プロデューサーと議論する場合]、目的を[議論しないといけない]。博覧会なら展示が終わったら潰してしまうので、汎用性は不要です。[プロデューサーには無駄を見付ける能力がいります]。

8番目で総合調整を行います。[色々な専門家が持ってきたもの]が[総合的に調整されているかどうか、これを検証する段階]です。ここでは[予算を絞らないといけません]。そうしないと[大赤字になります]。この段階が[一番苦しいところです]。

あれこれの言い分や事情があるため、[現実的には、今はこうするしかない]と言う人が出てきます。[しかしここでいう「現実的」とは、「着手容易性」を言っているに過ぎません]。成功が必要なのに[着手はできるけれど成功はできない入口が多いのです]。

9番目が基本設計です。[あらゆる条件を定めてから設計する]こと。[基本設計で一番重要な問題はお金が合っている(予算内)かどうかの確認です]。たいてい[設計を先にやりたがります]が、それを認めたら、まとまらなくなります。設計は後です。

10番目は実施設計です。この段階で[各組織の長や実施の技術者]といった[最初の目的やコンセプトに関わらなかった人々がどっと来るわけです]。[各プロデューサーや事務局長が、これを全員に丁寧に説明]することがプロジェクト成功の鍵になります。

 

3 プロデューサーの資質と気質

堺屋太一は博覧会に長年かかわってきましたが、[結局はほとんどの人に愛されたと思います]と言います。[総合プロデュースは、非常に結果がよく分かります]から、[「終わり良ければ全て良し」なんです]。途中の人間関係はあまり関係ないとのこと。

博覧会をプロデュースをするためには「多技能性」が必要でした。[特に会計と設計図と工程表が読めなければならない]。設計図なら、[音符を見て音が聴こえる]のと同様、[設計図を見て完成予想場面を確実に見ることができる]ことが必要でした。

先見性も求められます。[十年後の社会がどうなっているかを考えなくてはならない]。[だから、未来小説みたいなものを書く練習をするのもよいのです]、[これは才能ではなくて訓練です]とのこと。プロデューサーの資質として以下の3つをあげています。

▼プロデューサーの資質
(1) 強気━━━━「終わり良ければ全て良し」に徹する気の強さ
(2) 多技能性━━会計、設計、工程表がわかること。結果を想像する能力
(3) 先見性━━━イベント当日の世の中を見通す。開催時点で歓ばれることを選べる
(『夢を実現する力』p.48)

こうした資質を持つ上に、気質として「あきらめない・怒らない・譲らない・疲れない・誇らない」の5つを持つことがプロデューサーとして成功する条件だと堺屋は言います。[心から事業創造が「好きな人」]ならば、これをクリアできるとのことです。

▼プロデューサー気質とは何か
(1) あきらめない━━━━━━壁を超える努力を止めない
(2) 怒らない━━━━━━━━だが、甘い顔をしない。ケンカをしても冷静
(3) 譲らない(初志貫徹)━━目的とコンセプトは変えない。手練手管で初志を貫く
(4) 疲れない━━━━━━━━「絶対的好き」になる(好きな者は疲れない)
(5) 自慢しない━━━━━━━権限を持つ(調整する)者は嫉妬されないように用心しよう
(『夢を実現する力』p.53)

堺屋は大学で建築を学び、官僚としての訓練を受け、後に未来小説を書きます。博覧会のプロデューサーに最適の人でした。「資質・気質」は堺屋の自画像かもしれません。参考になります。そして10段階の「プロデュース法」は学ぶべき標準というべきでしょう。

 

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