■仕事の生産性について:大きな改善・飛躍のチャンス
1 解決が難しい再配達の問題
宅配サービスは、なくてはならないものになっています。ここ数年、再配達の負担が問題になっています。現在も解決していません。コンビニに取り置いてもらえるとありがたいと思う人もいるはずです。コンビも負担なのでしょう、わずかしか実現していません。
再配達の場合、時間指定の時間帯に違いがあったり、各社の取り組みも異なります。戸建ての場合、在宅中の配達に気づかなくて、受け取りに失敗することがあります。深刻なのは、大急ぎで用事を切り上げて家に戻ったのに、荷物が受け取れなかったケースです。
時間内に戻ったのに配達がこない、おかしいと思ってポストを見たら、不在通知が入っていたという場合、信用を損ないかねません。クレームのリスクもあります。スーパーのタイムサービスで、割引になるものがレジのミスで割引にならなかったのと同様です。
2 再発防止策のない指示
再配達を減らす仕組みを構築するのは、簡単にはいかないかもしれません。しかし、再配達になったものを確実に届けようとする工夫が必要です。各社の対応に違いがありそうです。先日、大手業者の管理者の人と再配達の問題についてお話することができました。
その業者はどういうわけか個人宅への配達ミスが多くて地域でも知られていました。なぜなのか不思議でした。そんな興味もあってお話をお聞きしました。担当者は誠実そうな人でしたが、お話に愕然としました。再配達のトラブルを減らす仕組みがないのです。
お客さんが在宅しているかどうかを確認して荷物を配送するように…という指示は出しているそうです。ミスがあったら、その都度注意しているそうです。それで「再発防止のために何をしていますか」とお聞きしたら、何もありませんでした。嘘のような話です。
3 改善の前提となる基礎データの把握
ミスのたびに当事者と皆が集まる朝礼などで注意を喚起するということでした。これだけで改善がなさるのかとお聞きしてみると、すみません…とのことです。改善を見るデータを確認していないのです。データ集計が可能なのに数字を把握していませんでした。
これではどんなにいいシステムを導入しても役に立ちません。ドライバーの成績にかなりのバラつきがあるのは常識ですし、それをわかっているのに、データのチェックがなされていません。各人の再配達の回数をチェックすれば、工夫した人が浮かび上がります。
データのお話をしたら、罰則適用の方向で利用するという気配が見えたのも残念なことでした。問題のある人をチェックするのにも使えますが、それ以上に、工夫している人からノウハウを聞き取るために使うべきでしょう。罰則優先では改善は期待できません。
4 アイデアを出して仕組みを作る
こういう場合、どういう手順で業務を見直したらよいのでしょうか。まず当たり前すぎることになりますが、在宅しているのに配達できなかったら、重大な信用問題になる点を周知することでしょう。信用が優先されます。「不在」に慣れてしまうことが危険です。
次に再配達の回数のデータをもとに、再配達の回数を減らす目標を立てることです。そのとき再配達の回数が少ない人からノウハウを聞きとる必要があります。同業他社の一部の営業所では、訪問の手順のみならず、留守番電話の吹き込み方まで指導しています。
宅配のように身近なものは、どうすればよいのか一般人でも思い当たることがあります。当事者ならもっとアイデアは出ます。その中で何が効果的なのかチェックすれば仕組みが作れます。配達ルートの工夫で、時間帯内に2度回れる件数を増やす業者もあります。
驚くべき工夫の数々が積み重なっている業者がある一方、大きな組織で脇の甘いところがあることもたしかなようです。具体的なお話を直接間接に聞く機会が増えてきたせいか、一部の組織における生産性の低さが気になります。飛躍の機会とすべきでしょう。