■就職に関して:学生の様子と企業の様子

1 結果としてよかった2016年度就職実績

ここ数年の就職状況はかなりよかったと言えそうです。2014年から状況がよくなってきた感じがします。2016年度に卒業する学生の多くが希望の会社に入れたようです。昨年彼らは、前年の2015年が就職に一番よい年だったという認識を持っていたと思います。

就職を支援する学校側も状況がよいことを願いながら、3年続きで就職率がよくなり続けるなど、そんな甘い期待を前提にしてはいけないと考えていたはずです。ところが実際にはここ数年で、2016年の就職の実績が一番よかったといえる状況だったと思います。

では2017年度はどうでしょうか。就職担当者はもっといけると感じています。その裏づけになる失業率の低下も見られます。たぶん弱いことはないでしょう。こういうとき学生はどういう様子なのか、これが問題です。管見にすぎませんが、危険な傾向が見えます。

 

2 心配な点:学生の緊張感の欠如

学生の様子を判断する場合、一般教養などの座学や、反復練習して習得する科目への取り組みを見る必要があります。今年の学生について、何人かの講師から指摘があります。一言で言えば緊張感の欠如です。とくに就職の結果が出そろった後期からが顕著です。

昨年の学生は、結果としてよい就職率でしたが、緊張感をもっていました。リスクもありました。6月解禁で内定をもらってまもなく、イギリスのEU離脱が決まっています。離脱を想定していなかった感もあって、数ヶ月早ければ就職に影響したかもしれません。

その後、大銀行の経営不安などEUへの不安感が出ています。製造業の人から敏感な反応もありました。ネガティブというより見極めたいという感じでしょう。2017年にはフランス大統領選挙をはじめ、不安定な要素が数々あります。業務見直しの話が増えました。

多くの企業は先が見えなくて、安心して人を増やせずにいます。その傾向が6月以降、はっきりしてきました。2017年の就職に関して、そう楽観的になれません。人手不足の状況が変わらないとしても心配です。そういうときに緊張感の欠如が起こっています。

 

3 学生が気にする3つのこと

最近はインターンシップに行く学生が増えています。そこでの本音の情報が学生のグループで回りながら、どうやら学校側に伝わっていない様子です。個別企業について就職担当を飛び越えて、次々こちらに聞きに来ます。彼らは何が心配なのでしょうか。

ほぼ同じことを気にします。(1)将来性、(2)労働時間、(3)自由さ…の3つです。将来性があるのかと学生は聞きます。(2)はインターンシップ先企業での業務の忙しさを見れば想像がつくでしょう。(3)も情報が回ります。企業もよくご存知で対応はソフトです。

相談に来た学生たちに職場環境を聞くと、多くの場合、ものすごく働いているということ、同時に仕事に無駄が多いと言います。ブランドのある会社なので、インターンシップ先に選んだのに、将来性に不安を感じるのです。会社のソフトな対応でも隠せません。

 

4 人ならではの仕事に無駄が多い

忙しすぎるなら自由でないだろうと感じるのは当然のことです。自由がないと変化に十分対応できないのではないかと考えるのも、もっともなことです。それが会社の将来性を気にする原因になっています。問題はこれらが学生の危機感につながっていない点です。

就職状況がよいので、いい会社を選ぶという意識が強くなっています。いい職場がないかもしれないという不安感よりも、自分がいいところを選べばよいと考える傾向があります。しかし企業も賃金上昇に苦しんでいます。余裕のあるところなど少数でしょう。

学生が労働時間から将来性と自由さを意識するのは、なかなか鋭い感性だと思います。企業側も業務をもう一度見直して、効果的に付加価値をつける必要があるでしょう。人ならではの仕事に無駄が多いという学生の指摘は、企業側も聞く価値があると思います。

黙っていても2割の学生はしっかり勉強します。緊張感のない学生には責任があります。その割合をもっと上げるために、教師の責任も重大です。学生も教師も企業も世界的な視野をもって、現状を一歩進めるときでしょう。講義の詰めが甘かったかもしれません。