■組織の成果状況の把握 「2・6・2」あるいは「80:20の法則」

 

1 「80:20」が成り立つか

ときどき「2・6・2の法則」という言葉をお聞きになることと思います。優秀な人が2割、普通の人が6割、それ以下の人が2割…という割合のことを言うようです。パレートの法則なら「80:20の法則」ですから、2と6+2を分けた感じになるのでしょうか。

営業の場合、成果が数値化しやすいので、ときどきこの種の数字を使ったお話が出ます。職種にもよりますから一般化できません。よく言われるのが、平均の2~3倍が優秀な2割の人の平均値になるとのこと。逆に平均以下は2分の1か3分の1とも言われます。

3倍と3分の1をもとに「2:6:2」に当てはめてみると、「80:20」にはなりません。優秀な2割の人の成果は全体の半分を占めるに過ぎません。「80:20」が成り立つためには、2割の人が平均のおよそ10倍の成果をあげなくてはなりません。

 

2 付加価値の大きさと個人差

営業成績のお話をするとき、2割の人の成績を気にする方がかなりいます。何となくパレートの「80:20の法則」のイメージがあるのか、たぶんこの2割が全体の8割を決めるから…とおっしゃる人もいました。実際には仕事によってかなり違いがあるようです。

どちらかというと単純作業の場合、平均のばらつきはあまり大きくならず、2~3倍になるようです。ところが専門的なもの高度なものになると、10倍を楽に越える差がつくことがしばしば起こります。付加価値の大きなものほど、個人差が出てくるはずです。

専門的なもの高度なものほど、代替の難しい属人化の傾向が強くなります。同じ専門的なものでも、取り扱う内容が少し変わると、属人が変わることもあるともいわれます。あるいはあの人は何をやってもすごいという人もいるようです。難しい時代になりました。

 

3 組織の成果状況の把握を

努力とか工夫だけではどうにもならなくて、気質や何やらわかりにくい理由で向き不向きができてしまうようです。そういう意味では、標準化の効果が効きにくいというのは確かでしょう。付加価値をつけようとしたら、標準でないところがポイントになります。

企業でどうやって付加価値をつけたらよいのか、仕組みを考えようとしても、適切なモデルもなさそうですし、手探りでいくしかない状態です。多くの場合、何らかの独自なものを作り出そうとすると、それが属人的な活動に支えられるようになってきています。

こういうとき、どうしたらよいのでしょうか。一般法則などないでしょう。ただ何らかの基準を元に、成果がどういうばらつきになっているのか、確認したほうがよさそうです。2:6:2とか80:20とか、全体を大胆に把握しておくことが大切なようです。

国の経済状況をGDPやその成長率で把握するように、企業の状況を売上げや利益で把握することはしばしば行われています。同時に組織の成果状況を大づかみしていることが、全体に関わる大きなアイデアを生み出す基礎になっている…と思うことがあります。