■業務マニュアルの再定義とOJT用マニュアル
1 業務マニュアルの再定義
業務マニュアルは、ビジネスモデルを中核とした、業務の仕組みを書くものになってきています。従来の作業手順を書く業務マニュアルとはずいぶん違った存在になってきました。業務マニュアルの再定義が進んでいるというべきでしょう。
1980年代に入って、マネジャーという言い方がだんだん消えていき、代わりにリーダーとかエグゼクティブといった言い方が多くなってきました。人を管理するのではなくて、業務を管理するのが管理職の仕事になったといえそうです。
業務は3つの段階からなります。業務の構築(設計)、業務の運用(実行)、業務の改善(修正)…の3つです。このうち業務の設計がおかしかったら、実行しても成果があがりません。一部の修正で済むのかどうか、そのあたりを管理するのがリーダーです。
2 社内講習やOJTの必要性
業務の構築がきちんとなされていることを確認するために、業務マニュアルが重要な役割を果たします。一方、業務の運用に関して、業務マニュアルだけでは不十分になっています。業務の仕組みが示されただけで、業務が実践できるはずありません。
そこで社内での講習やOJTが必要になります。こうした活動は、業務マニュアルがあってこそ、力を発揮します。新しい部署を作って、新しい業務の仕組みに基づいて運用を始めたときに、その仕組みを書いておかなかったらどうなるか…です。
文書に書いておかないと、担当者が変わっていくにつれて、だんだん仕組みが不明確になり、不安定化していくことになります。たいてい数年で新しい仕組みがダメになります。業務の仕組みが明確でないと、業務の運用も不明確になり、安定化しません。
3 OJT用のマニュアルが必要
業務マニュアルがあるならば、構築された仕組みがつぎつぎ更新されていきます。仕組みが新しくなるに従って、個々の業務の実践も新しい形態になります。その都度、新しい業務の実践方法を普及させるために、OJTや社内講習が必要となるのです。
業務を構築し、業務の仕組みに基づいて運用し、実践に基づいて業務を改善する…というサイクルが回ることにより、ビジネスが高度化していきます。それを支えるのは、業務従事者の実践力です。実践力の高度化により、業務の運用水準がレベルアップします。
業務マニュアルが薄くなるのは、詳細な作業手順の記述がなくなるためです。その代替として、実践を通じて学ぶOJTや講習会が重要になります。効果的なOJTを実施するためには適切なプログラムが必要です。
単純作業なら、丸投げのOJTでも問題ありません。しかし、付加価値のある高度な業務の場合、実践に伴って改訂をして行く基礎となるマニュアルが必要です。幸いこのマニュアルに、詳細な記述は不要ですので大部にはなりません。