■「ですます」調と「である」調:文章訓練について

 

1 「です・ます」調の文章

最近、さまざまな場面で、「です・ます」調の文章が標準のスタイルになってきているように思います。就職向けの自己アピール文も、かつての「である」調から「です・ます」調があたりまえになりました。このブログも「です・ます」調で書いています。

電子メールの普及の影響が大きかったのかもしれません。相手に向けて書くという態度が一般化しているのでしょうか。Webでの情報発信も、読む人に話しかける形式の文章が多くなったようです。語りかける様に書いた方が、何となくやわらかい感じがします。

メールの文章によくある「了解しました」という言い方を「である」調にするのは、簡単ではないでしょう。「(私は)了解した」という言い方では、ぶっきらぼうです。電子メールの利用場面が広がるにつれ、「です・ます」調が広がるのも自然なのかもしれません。

 

2 文章訓練をするとき

それでは今後、文章訓練をするときに、「です・ます」調を基準にしたほうがよいのでしょうか。必ずしも、そうとは言えないのです。簡単に決められません。繰り返し読まれる文書では、まだ「である」調が主流ですし、この点、今後も変わらないと思います。

情報伝達の効率からすると、おそらく「である」調の方が有利だろうと思います。「です・ます」調で上手な文章を書くのは、そうとう苦労の伴うものでしょう。「です・ます」調では文章が冗長になりがちですし、文末も単調になりがちです。

「です・ます」調の文章で、簡潔に文意を伝え、文末に変化のある文章が書ける人は、ごく少数でしょう。それが可能な人なら、「である」調の文章を書くことなど、簡単だろうと思います。そうとう上級者のはずですから。

 

3 「である」調の文章が基礎

ビジネス文書では、簡潔、的確に書くことが重要です。客観的なぶれのない文章が求められます。そうした需要に対して、「である」調が生き延びるのは当然だろうと思います。練習する場合も、「である調」で訓練をした方が効果があるように思います。

メールの文章については、かつて書いたことがあります。形式的な注意に過ぎません。何度も読まれる文書がきっちり書けるなら、自然にメールの文章も上達するはずです。「ですます」で書くのは難しいという認識が必要だろうと思います。

「である」調なら、原則として敬語は不要です。一方、話しかけるように書くなら、相手次第で敬語も必要になります。メールの文章にはさまざまな要素が絡みあっています。文章の多様性がありすぎて、文章作成とは違った要因に影響を受けすぎるのです。

繰り返し読まれる文章がきちんと書けなくては、メールの文章訓練をしたところで、効果は知れています。メールの文章がひどいのですが…という相談を受けたことがあります。そのときの訓練も「である」調で行いました。「である」調での訓練が基礎なのです。