■業務マニュアルにおける鳥の目と虫の目

 

1 業務マニュアル作成の視点

業務マニュアル作成講座の準備をしています。毎回、テキストを変更するため、セミナー担当の方にご迷惑をおかけしています。今回は、さらにひどいことに、直前でテキスト原稿をすべて廃棄することにしたため、印刷がギリギリになりそうです。

なぜ毎回テキストを変更することになるのか。わりあい単純な理由です。業務マニュアルに対する考え方が、変わってきているからです。各企業の考え方が急速に変わりつつあります。ニーズの変化に伴って、講座のアクセントが変わってきました。

杉浦和史は「ビジョンはトップダウン、アクションはボトムアップ」と言います。業務マニュアルは、本来トップダウンのものです。しかし、実際に企業が作るように指示を出す業務マニュアルは、多くがボトムアップのものでした。ここが変わってきました。

 

2 鳥の目と虫の目

従来の業務マニュアルの講座では、ボトムアップの作り方が求められました。もともと、それだけでは不十分です。はじめてマニュアルを作る人であっても、トップダウンの発想がわからないとどうにもならないのです。その方向に、企業側が変わってきました。

トップダウンの発想とは、マネジメントといってもよいと思います。上から鳥瞰する視点が必要なのです。鳥の目と虫の目という言い方があります。司馬遼太郎が1964年、オリンピックの年に、「私の小説作法」で自分の小説の方法について語っています。

普段は、地上で見慣れた風景を見ているけれども、ビルから下を眺めると違って見える。<視点の物理的高さを、私はこのんでいる><同じ水平面上でその人を見るより、別なおもしろさがある><要するに「完結した人生」をみることがおもしろいということだ>。

業務マニュアルでも、トップからみた視点をもたないと、上手にまとまらないのです。会社のビジネスを考えるとき、会社がやろうとしている目的は何か、そのために目標をどうするのか、実際の業務をどう構築すべきか、こうした視点が必要です。

 

3 鳥の目の獲得

業務マニュアルを作成することによって、リーダーを作ろうという発想があります。鳥の目を獲得してほしいということです。現場での作業を改善していくのは、虫の目が中心になります。虫の目は大切です。しかし、それだけでは不十分だということです。

全体を体系的に記述するには、目的から考えるしかありません。業務マニュアルを作成する人は、トップの地位にはありませんから、自分で決めるわけには行きません。トップはどう考えているのだろうかと考えながら、聞き取りをすることが必要になります。

目的を明確にしたら、各業務の目標がどうなっているのかを確認しなくてはいけません。各部門の長が中心となって目標を作り、それをトップが承認する形式をトレースすることになります。その目標をどう管理していくのか、業務の仕組みを見出す必要があります。

業務の設計がどういう構造になっているのか、その意識を持って資料のチェックと聞き取りをしなくては、鳥の目から見た業務は見えてきません。こうした視点による業務マニュアルが必要となってきています。ここ数年、急速にその傾向が見られます。

 

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