■マニュアル講座を終えて:大いなる課題 2/2

 

1 作成の基本をきっちり守ること

最高水準の操作マニュアルについて、前回ふれました。デザインなどは簡単にまねできません。しかし、基本をきっちり守って作っている点は参考になると思います。作成の基本を身につけたなら、一定水準のマニュアルをかなり迅速に作れるものです。

ページまたぎをする説明よりも、ページごとにまとまったものの方が見やすいこと、項目名を大きく表示するとわかりやすいこと、全体の構成を4つくらいの大項目にまとめて、その下に各項目を同列に並べていること、これなど、基本中の基本です。

また、強烈な色を避けて、濃い目の色の領域(面積)を計算して使っていること、ページ内の図を右か左に整理して並べていること、あるいは中心に図をおいて、線をひっぱって簡潔に説明していること、そのときの線が整理されていること、どれも基本です。

 

2 理屈で説明できることが大切

今回に限らず、多くの場合、マニュアルの基本的教育がなされていません。会社に指導者がいないケースがほとんどです。製品やサービスを提供する企業なら、指導できる担当者が必要でしょう。担当者が手探りの努力をしている状況に見えました。

操作マニュアルの場合、センスのいい人は、実際にそれなりによいものをお作りになっています。今回も、マニュアルをお持ちになって、見て欲しいという方がいらっしゃいました。非常によくできていました。ただ、なぜなのかという理論武装が弱い感じでした。

センスのよい人が、よい操作マニュアルを作ったとしても、なぜそうするのかを理屈で説明できないと、その人限りのスキルになってしまいます。マニュアル作成の手引書が必要かもしれません。会社ごとにそのノウハウをためておくべきです。

 

3 大いなる課題:専門家の養成

マニュアル作成の担当者を育てる仕組みを会社側が作っておかないと、優秀な人の、一代限りの個人技になってしまいます。できる人のノウハウを継承することが重要です。個人差の大きなスキルですから、できる人を大切にすべきです。

例えば、操作マニュアルが作れるということは、外に出せる文書が作れるということです。展開できる重要なスキルです。それができるなら、社内に文書の専門家がいると言えます。しかし、専門家の養成に本気で取り組んでいる会社は、まだ少数派のようです。

今後ますます、OJTが重要になりますから、会社側はOJTのプログラム作りまで含めて、文書の専門家、マニュアルの専門家を育てるのに、どういう仕組みが必要となるのか、十分な検討が必要となるでしょう。大いなる課題だと思います。

 

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