■就職活動シーズン到来:自己アピール・1分間スピーチ 2/2
1 ほとんどが埋もれてしまう
1分間スピーチにしろ、自己アピールにしろ、採用の際にあまり重視されないという意見があります。しかし、採用担当の方々は、きらりと光る人を探しています。これは、採用に関わる方から、直接お聞きしていますので、間違いありません。
少なくとも、きちんとした会社が、いいかげんな扱いをすることなど考えられません。普段の業務のありようが、そのまま採用活動にも現れているということです。ただ、ハッキリとはおっしゃいませんが、光ったものがとても少ないようなのです。
限られた字数で、個人の経験を書くのは大変です。多くの場合、経験の内容ではなく、部長だったといった「肩書き」を書いています。その上、協調性・リーダーシップといった言葉に逃げてしまっています。これでは埋もれてしまっても仕方ありません。
2 何をしたか、成果・展開はどうか
ある学生は、就職活動の際に求められた「自分が大切にしてきたこと」というテーマに、卓球を続けてきたことを書こうとしています。しかし、持ち込まれたものは、あまり印象的でありません。もうすこし切り口を考える必要があります。
大切なことは、文字数を意識することです。たいていの場合、200字程度の文章が求められます。この文字数でまとめるとしたら、余計なことは書けません。すぐに文字数オーバーになります。思いっきり書いてみて、そのあと、大胆に削ることです。
まず、何をしたかを簡潔に書きます。その上で、その成果をなるべく客観的に示します。何をしたかをさらりと済ませても、すぐにわかるものなら問題ありません。成果が、全国で一番になったといった圧倒的なものならば、事実がものを言ってくれます。
ほとんどの人は、圧倒的な成果などありません。しかし注意すべきことは、圧倒的な成果をあげたとしても、それだけでは弱いということです。その成果がどう展開したかを書く必要があります。全国で一番になった結果、どうなったかという点が必要です。
3 就職活動は自分をふりかえる機会
相談に来た学生は、「卓球を5歳の時から始め、中学の時に全国大会の団体戦に参加できた」ということが体験になりそうです。全国大会の参加が成果なら、埋もれてしまいます。本人も気づいている通り、この成功体験により、学生が変わったことが成果です。
継続すると成果があがると実感したこと、意識して練習方法を工夫すると継続しやすいのだと気づいたこと…このあたりを具体的に書けば、伝わるかもしれません。興味深かったのは、聞き取りをする過程で、本人がそうでしたね…と自己発見をしたことでした。
あらためて自分のやってきたことを振り返ることによって、自己発見ができたようです。5歳から始めた卓球も13年継続し、高校卒業を機にやめています。次につながったのです。本人は、そのことに気がつきました。ここからは本人に任せました。
就職活動を通じて、自分をふりかえることができます。学生にとって、はじめて真剣に自分を振り返る経験になるかもしれません。その意味でも貴重な活動になるはずです。もう少し、こうした点も踏まえて、学校側が対応してもよいかもしれません。