■業務の定義と分類 3/3:OJT手法のプログラム
1 OJTの実施状況を把握する
業務を覚えるのに、OJTは必須のものとなっています。OJTの場合、手順の詳細を記述しなくても、業務の習得が可能になるところがすばらしいところです。業務システムを作る場合と、この点で大きく違っています。(定義と分類2 標準の記述について)
例えば、パンを作るときの「ひねり伸ばし」を定義して説明することは、簡単にはいきません。しかし、こうすればいい…と実際にやって見せれば、わりあい簡単に理解できて、実践することができるはずです。他の動作とどう違うのかも同時にわかります。
業務の実施に際して、OJTは今後ますます重要な位置を占めるはずです。問題は、その検証が十分になされているかという点です。OJTを上手に行えば、高い効果が期待できます。しかし、その実施が個人に依存する傾向が強いのが気になります。
OJTが上手な人と、そうでない人がいます。上手な人はどういう風に教えているのか、組織のほうで把握しているのでしょうか。十分な情報を持っているところは、きわめて少ないといえそうです。
2 OJTのプログラムを記述する
外食産業のサービスは、マニュアルにそっていると言われています。間違いではないでしょう。しかし、紙のマニュアルのみで教育されているという意味ではないでしょう。紙のマニュアルでの教育より、OJTが主な役割を果たしているはずです。
OJTで行うことが、きちんと決められているからこそ、均一なサービスがなされていると言うことになります。それにより一定期間に一定水準を超える業務が習得できます。こうしたOJTの手法を記述しておくことは、業務の質向上につながります。
OJTの手法を記述し、それを検証することは、組織にとって強い武器を得たことになります。今後、多くの組織で、OJTの手法をきちんとプログラムに書いておくことが必要になってくるものと思われます。
3 業務マニュアルの一部として扱う
製パン器を作るときに、パン作りを教えてくれた職人さん達は、「ひねり伸ばし」を明確に意識していないのに、先輩から技を継承できていました。これをさらに記述しておくと、徐々に作りかたも精緻化していくはずです。
OJTプログラムを書くことは、よりよい業務へと発展させる契機にもなります。いったん書かれたものは、書き換えが容易になります。分類・定義の精緻化も進みます。業務手順を厳格に記述するより、OJTプログラム作成がなじむ場合が多々あるはずです。
一方、OJTによる教育を行ったからといって、標準化の邪魔にはなりません。標準化を急いでする必要がある場合には、聞き取りが必須になります。徐々に業務を育てていく場合、OJTのプログラム作りが検討されるべきでしょう。
お分かりの通り、OJTのプログラム自体が、もはや業務マニュアルの一部であると考えるべきでしょう。プログラムを記述の際に気をつけるべきことは、業務の達成された姿、つまりゴールの品質・状態が示されていることになります。