■電子化文書の作法3/4:独り立ちした文章

1 電子化文書はPC中心

情報量をたくさん載せるとき、紙の文書よりも電子化文書は、工夫が必要となります。読む側で大事なところに線を引いてもらうわけに行きません。電子的にそれが可能であっても、手で線を引くのと違って、負荷がかかります。(前回⇒「電子化文書の作法2:タブレット端末をめぐって」

紙の文書でやれることが電子化文書でも出来るから同じである、と単純に言えません。人間の感覚に合致していないものは、いくら機能があっても使われません。クリックを何度も強いる形式は、利用されなくなるリスクがあります。

一方、行く方向、行く地点がわかっているならば、スクロールはそれほど負荷になりません。こういう場面で、縦置きと横置きの違いが出てきます。横置きのタッチ画面をスクロールさせることは、私たちの感覚に負荷があまりない操作であるといえます。

その点で、タブレット端末には可能性があると思います。とはいえ、電子化文書の利用は、今後もPC中心だろうと思います。タブレット端末での入力がPCに較べて、効率的でないためです。コンパクトであることのよさとともに弱点もあります。

現時点でのタブレット端末では、ビジネスに対応した入力効率が十分に確保できているとは思えません。今後の可能性はありますが、当面、電子化文書を考える際には、おもにPCでの利用を想定すべきだろうと思います。

 

2 独り立ちした文章

PCでの電子化文書の利用を前提にすると、作成側の責任が大きくなるという点を強調しないわけには行きません。前述のように、利用者が必要なところに線を引いてくれるわけではありませんから、こちら側で、何らかの目印をつけておく必要があります。

以前書いたとおり、必要事項を簡潔に書く必要があります。(⇒「電子化文書の作法1:文書の読まれ方の形態」)そのためには、どこに何があるかを示さなくてはムダが多くなります。簡潔というのは、文書の全体量が少ないと言うのとは違います。

必要とする部分の領域がどこからどこまでか、わかりやすくすれば、結果として読む量が減ります。アクセスの容易さと読む量が問題です。文書の全体量を減らすことが最優先ではありません。ビジネス文書の場合、ことがらの括り方が問題になります。

適切に括られた中に、必要事項が入っているならば、それで事足ります。括りをつけるということは、そこが独立であるということです。そこだけを読めば、ひとまず必要事項が入っているという点が重要です。これが簡潔の要件にもなります。

このあたり、新聞記事をご覧になるとわかると思います。たとえばオリンピックが終わった後で、昔の記事のスクラップを見たならば、記事の価値が見えてくるはずです。独り立ちしている記事と、他に依存している記事とにはっきり分かれます。

現在進行形のときには、たくさんの報道がなされていますから、他の記事などから補って読むことができます。しかし、それは独り立ちしていません。選手の苗字しかなかったり、世界記録と何秒差とあるだけで記録が抜けていたり、よく見かけるものです。

 

3 括りをつける:小見出しをつける意識

PC入力での文書は、手書きより文書量が多くなります。電子化されると、たくさんの文書が行きかいます。その中からエッセンスを引き出す必要があります。簡潔に書くというのは当然のことですが、それには独り立ちした文章であることが必要です。

該当部分に必要な材料がそろっていることが前提となります。簡潔とは、不要なものがないということです。つまり、必要十分な材料のみで項目をまとめることです。そのためには、何を書いているのか、その概念を明確にする必要があります。

概念を明確化するためには、練習が必要です。忙しい業務の中で、現実的に実行できる練習はどんなものでしょうか。まず、文書に小見出しをつけることをお考えいただきたいのです。この項目は何について語っています、ということを意識するためです。

書いている方が、特に意識なしに何となく書いてしまうと、概念が混在します。この部分は、こうしたことを書いているという意識があると、書く内容も書く形式も変わってきます。最初になすべきことは、括りを自分で意識することです。

日本を代表する企業でも、若手にきちんとした報告書を書かせるのは無理なので、言うべきことを箇条書きにして提出させているとお聞きしました。言うべき内容が明確であるなら、箇条書きに出来ます。これはよく考えられた方法です。

箇条書きが最小の括りになっています。本来、これでは不十分です。箇条書きをもとに、まとめなくてはいけません。しかし、この会社では、若手にはそれができないと判断しています。現実をよく観察した結果の洞察だと思います。それだけ難しいことなのです。 (この項、続きます。⇒「電子化文書の作法4:構造化が決め手」