■標準化と業務マニュアル

▼標準化は難しい

業務マニュアルというのは、標準を書くものではありません。標準化は必要ですし、標準化なしに業務は成り立ちません。しかし、標準というのは、普通に考えられているものと、ずいぶん違ってきています。

たとえば杉浦和史は書いています。「人間を相手にする医療機関における標準化は難しいと言われます」。その通りです。しかし、いまや多くの企業が、簡単に標準化できない業務を中核にしているはずです。

 

▼標準値は変更可能

付加価値を生む業務は、業務を行う人に依存する割合が大きくなっています。苦労して病院で標準化した事例を見れば、標準化というものがどういうものであるか、わかるはずです。

(1)医師別・曜日別の診察限界値
(2)入院日数
(3)手術難易度

さらにこれらに対して「標準値は決めるが状況に応じて変更可能にした」としています。決まりきった作業手順を安易に標準化と言っていた時代はもう終わりです。そんなレベルの仕事で付加価値がつくはずはありません。

業務の「標準化」は、杉浦の指摘する通り、「限られた範囲なら可能」というレベルです。本来の標準化は、上記事例で感じ取れるはずです。

 

▼付加価値と品質基準

標準化できない業務において、何によって業務の品質を管理したらよいのでしょうか。これが難しい問題です。

例えば、均一なサービスを提供する必要がある飲食店の場合、まず基本的なレシピを提示しています。OJTを行い、実際にそれを作ってみます。きちんとできると認定された人が、メニュー提供の担当になります。

使用する材料と出来上がりの状態を品質基準にして、品質の標準化を維持しています。当然、顧客の評価をもとに、品質基準のフィードバックが必要です。それ以外にもチェックがあるはずです。

ここで大切なことは、付加価値の高い業務の品質基準は、担当者各人の工夫やスキルが前提条件になっているということです。どういう工夫であるのかは、各人に任されています。誰にでも簡単に出来ることでは、大きな付加価値はつきません。

 

▼業務マニュアルの記述の激変

高度化、専門化、知識化というものに対して、標準化というものがどういう位置づけになっているのか、お気づきになっただろうと思います。業務マニュアルの急速な変化は、業務それ自体の急速な変化の反映です。

標準とは基準です。業務品質をどこに置いたらよいのか、かつては件数で測っていたものが、現実に合わなくなっている可能性もあります。1件ごとの価値に大きな違いがある場合、件数より処理時間で測るほうが適切かもしれません。

標準化といわれるものが、決まりきった作業手順のことを言う時代から、業務の品質を維持・発展するための基準に変わってきていることを意識する必要があります。業務マニュアルの記述が激変するのは当たり前のことです。

杉浦和史のブログ: http://blog.goo.ne.jp/katakait/e/3216fbac189bade9a2566da810b16c14