■ノウハウの利用の仕方-ある事例から


▼ノウハウの蓄積方法

以前、職人技を必要とするメーカーの方から、ノウハウを映像に残してあるのですが、なかなか有効に使えません、何かアイデアはありませんか…という質問がありました。

ノウハウをどうやって蓄積したらよいのか、なかなか難しいものです。ただ溜め込むだけでは意味がないですから、どう使うかという観点から考える必要があります。

日本トップクラスのメーカーですから、当然のこと、使いやすいシステムを構築したはずでした。簡単に利用できない理由を考えて見ましょう。

 

▼ノウハウを利用しにくい理由

第1に、映像というのは検索をするのが大変です。映像にある内容をキーワードで表せるようにしておかなくてはいけません。このケースでは、複数のキーワードを映像に貼りつけて、検索できるようになっていました。この点、問題ありませんでした。

第2に、ノウハウというのは属人的な個人技であることが多いですから、これを共有するのはもともと難しいものです。これらすべてを検証して評価するのは現実的ではありません。

どういう状態になったらご満足なのか、お聞きしたところ、必要に応じてノウハウを参照して、そこからヒントを得たいということでした。そのためには、どういう順番で考えていったらよいでしょうか。

 

▼ポイントとなる2つのこと

まず、ノウハウを利用する側がどういう状態になっていれば、使えるのかを考える必要があります。そのためには、全体が見えないといけません。また、一番使えるノウハウがどれなのか、予測できるようになっていることが大切です。

検索キーワードを入れると、該当のものがたくさん表示されます。検索順位が、必要性を反映しているなら良いのですが、そんな魔法の検索システムはなさそうです。やはりこちらで評価しなくてはなりません。

全体を見えるようにするためには、一覧表示が役に立ちます。自分の手の内にあるものは、これだけということがわかると、安心します。わたし達が把握できる項目数は250から300が限度です。その範囲内の項目一覧を作る必要があります。

さらに大切なことは、使いながら、徐々に内容の重要性が予測できる仕組みにすることです。先ほど、ノウハウは俗人的であるといいました。まさに、これを利用したらよいと思います。

 

▼私のアドバイス

このケースでは、記録すべきノウハウを持っていた人は300人もいませんでした。そこで人の名前を記号化します。これが上位の項目になります。

ノウハウは属人的なものですから、使える使えないは、人との相関性が強くあります。使えるノウハウがあったら、上位項目をプラス評価していきます。その評価を検索順位に反映させることで、使えるノウハウの予測が立つようになります。