■シンプルの原則:三枝匡『戦略プロフェッショナル』

      

1 1991年出版の三枝匡『戦略プロフェッショナル』

実務で成果を上げた創業者や社長さんのお話を聞くと、ずいぶんシンプルな思考で判断してきたと感じることがあります。シンプルな基準で考えるのは、簡単ではないはずですが、ある評価軸が明確ならば、ブレない判断ができるようになるようです。

実務での成果を見るうちに、戦略はシンプルでないといけないのではないかと思うようになりました。シンプルとは、一番のポイントは何であるのかを明確にできること、ポイントとなる概念を明確化することです。ポイントの正しさと、その明確化が問われます。

確認してみると、1991年に出版された三枝匡『戦略プロフェッショナル』にも、[単純な基礎的なセオリーを完全にマスターし、それを自分の判断やプランニングに忠実に使えば、時として目覚ましい効果を上げることができる](文庫版 p.64)とありました。

      

2 良い戦略は極めて単純明快

良い戦略とは、どんなものであるかを、三枝は説明しています。[良い戦略は、お父さんが家に帰って、夕食を食べながら子供に説明してもわかってもらえるくらい、シンプルである](p.225)ということです。では、良い悪いとは、どういうことでしょうか。

▼私の経験では、良い戦略は極めて単純明快である。逆に、時間をかけ複雑な説明をしないと理解してもらえない戦略は、大体悪い戦略である。悪いという意味は、やっても効果が出ないという意味である。 p.225

三枝は[大げさに構えて大企業の全社戦略にまで行く必要はない]と言っていました。[ある程度の組織単位を統括している人であれば、戦略セオリーの使える余地がたくさんある](p.64)ということです。まずは小さな単位でやってみるのが良いかもしれません。

     

3 経営戦略の要諦は「絞り」と「集中」

シンプルの原則は、戦略以外でも問われます。三枝は、[営業マンが何かを売りに行くときにも、同じ現象が見える。彼らが良い製品を売り込むときの説明は単純明快である](p.226)とも記していました。これなど、実務の状況からも感じ取れることでしょう。

[製品の説明がシンプルで済むなら、その製品は市場を席捲できる可能性が大きい](p.226)ということです。商品開発において、説明がシンプルですむようにすることが、戦略的に正しいと言えます。特定の製品に限った範囲でもシンプルの原則が妥当するのです。

ポイントを絞り込むことが大切になります。[経営戦略の要諦は「絞り」と「集中」である]ということです。[もし事業に絞りがなければ、組織のエネルギーを統一することはできない]ですから、シンプル化はできていないことになります(p.261)。

[「絞り」とは、すなわち「捨てる」ことである][「これはやめた」と割り切ることが必要]です(p.262)。この時、[市場のなかを同じような購買性向を持った顧客グループに分ける]セグメンテーションの理解が必要になります。これはベーシックな本です。