■プロフェッショナルが育ちにくい日本で飛躍するために

     

1 プロとは個人の突出

三枝匡は『戦略プロフェッショナル』の文庫本あとがきに、ビジネスの世界で[その論理や戦略は次第に高度化し、そのため経営における「プロフェッショナル」の必要性が認識されるようになった](p.315)と記しています。2002年に文庫化されたものです。

[プロフェッショナルが求められる]のは、[企業経営についてだけではない](p.315)のは言うまでもありません。大切なことは[個人の役割が大きい](p.316)時代になったことに加えて、[人の流動性は非常に高い](p.317)という時代になったことです。

[プロとは社会の中における「個人の突出」である](p.319)以上、日本では育ちにくく、その結果、[日本独特の考え方や手法の開発が遅れてしまい、いまや米国流の手法に国中が染まっていくという現象が進行している](p.320)のです。現在もそうでしょう。

      

2 アメリカの圧倒的なノウハウ創出

三枝はアメリカの経営コンサルタント産業のことを、[「経営ノウハウ創出産業」と呼ぶことにしている]と言います。[次々と新しい経営手法を編み出してしま]い、当然[理屈ばかりで使い物にならないもの]が大量生産されるされることでしょう(p.321)。

しかし、その中に[深い洞察力や創造性によって、経営に革新をもたらすもの][会社のトップからミドルまで巻き込んで本当に経営現場で使えるツールを伴い、現実に経営上の効果を狙えるもの]が生み出されていることが大切です(p.321)。

三枝はとてもアメリカにかなわないと、悲観的な状況を記しています。本来なら、日本独特な考え方や手法が出てこなくてはいけないのに残念です。しかし、20年以上の歳月が流れて、アメリカの弱点も見えてきました。製造業が衰退してしまったのです。

      

3 セカンド・ルネサンスという発想

最高のものを狙って、それらを担う人たちを厚遇しすぎると、全体の中の特定部分を強化しすぎることになって、国全体としてバランスを失することになります。日本が失速している間、アメリカもチャイナも、方向は違いながらも飛躍していました。

日本も飛躍のために、経営現場で使えるツール、実際に経営効果ある経営ノウハウを生み出せないものでしょうか。三枝のあとがきを読みながら、集団よりも個人で考える必要があること、日本的な考えや手法が必要なことを感じました。その雰囲気はあります。

昨年、卓越したリーダーたちをモデルに講義を作りました。卓越したリーダーが必要だという認識は出てきています。彼らは個人的に突出した存在です。そして日本的な手法で卓越した成果を上げてきました。それでもやり取りをしてみると、弱点があります。

セカンド・ルネサンスという発想が必要でしょう。イタリア・ルネサンスが生まれたのは、お手本となるギリシャ・ローマの古典に帰って、学びなおしたからと言われます。戦後の日本も欧米に学んで飛躍しました。何かできるのではないかと期待しています。