■実力養成が不可欠な時代:知的生産の技術を考える必要性
1 戦力になる人がいないという話
本来どうあるべきかということと、実際にどうなっているのかということの乖離が、いつの時代でもあったはずです。最近は、転職も盛んになって、人の移動が活発化しています。同時に日本では、普通に働いているかぎり、辞めさせられることはありません。
何人かの方から、じつは戦力になる人がいないのですと言われます。会社の管理部門の人なら、今後、会社を引っ張ってくれるリーダーを誰にするかという考えになるはずです。候補がたくさんいる会社ならいいのですが、見当たらないという答えが多くあります。
最近も、抜擢人事というべきケースを見ました。特別な実力者とは違う様子ですが、いい条件で上位企業に転職したということです。話を聞くと大丈夫なのかとも思いましたが、とにかく人がいないということです。こちらの要求が高すぎるのかもしれません。
2 日本の出版点数はいつ反転するか
欧米のリーダーがどのくらい勉強しているのかは、本当のところ、よくわからないことです。しかし心配になる点があります。リーダーがあまり本を読まないのです。何年も前から注目されていることは、日本の書籍の出版点数がいつ反転するかということでした。
ヨーロッパ諸国では、すでに2017年から2018年にかけて出版点数が底打ちしました。その後、拡大してきています。日本では、小学生や中学生が本を読むようになっていますから、どこかで反転するはずです。自分で学ぶときに、本は不可欠なものと言えます。
読み、書きが十分にできないと、いずれリスクがあるだろうという気持ちになります。先の抜擢人事の例で心配になったのは、聞き取りに難がある人だったことでした。会議などのやり取りを、さらりと文書にできないのに、リーダーになれるのでしょうか。
3 知的生産の技術を考える必要性
実際に本を読みはじめると、この本は熟読しなくてはいけないもの、さらっと読むので十分なものと、判断できるはずです。かける時間も変わってきます。いま問題になっている点について、ヒントになる本なら、書き込みしたりノートを作る必要もあるでしょう。
こういう場合にどうすればよいのか、この種のことがあまり知られてないのかもしれません。むかしは、梅棹忠夫の『知的生産の技術』などの方法を提示する本が、いくつかありました。カードを作ったり、ノートを作ったり、その種の事例も示されていました。
パソコン入力が主流になると、自分の勉強スタイルをつくろうという気持ちが薄れるのでしょうか。勉強する目的は何か、そのためには本をどう使うかを考えるとき、ある種の原則があるとともに、目的にしたがって、その都度、決まってくることも多々あります。
リーダーになるのなら、もう一度、知的生産の技術を考える必要があるでしょう。実力者が必要なのは、今後も変わりません。現在、企業間でも個人の間でも、実力差が広がっているように感じます。日本でも実力養成が不可欠だと、いずれ意識が変わるはずです。
