■マニュアルの構成:良いマニュアルを作るために

1 中井久夫というマニュアル作成の名人

来週操作マニュアル講座があります。上手なマニュアルを作る人はどういう点に気をつけているのか、これが一番の問題です。専門的な分野で長年使われるマニュアルを作成してしまう専門家がいます。たとえば精神科医の中井久夫はマニュアル作成のプロです。

昔のことですから、特別きれいなマニュアルであったとは思えませんが、業界で長年使われたマニュアルを作成しています。なぜ使われたのかを考えてみると、それが外形にないことがわかります。見た目が素晴らしくきれいだとしても、それだけではダメです。

業務マニュアルの場合、図を中核に置くことはありませんが、操作マニュアルの場合、図が必要になります。しばしば図が主役になります。それをきれいに見せたいという気持ちも分かります。それを目的に講座にいらっしゃる方も、少数ながらいるようです。

操作マニュアルの作成では、きれいな図が作れることが最重要ではなくて、内容が大切なのだという理解は、かなり広まっています。しかし問題なのは、内容を良くするにはどうしたらいいのかということです。こうした問題意識は当然で正しいものだと思います。

 

2 遠心機とネクタイ

中井久夫は遠心分離器の使い方について記したマニュアルの中で、[遠心器をまわす時はネクタイをはずせ(万一巻き込まれると首が絞められて生命にかかわる)]と書いたそうです。このことを[そうそうたるウイルス学者がほめて下さったことがある]とのこと。

なぜ利用する側の研究者が高く評価したのでしょうか。当然、役に立つからです。ここで大切なのは、何が役に立つかということでしょう。命にかかわることがきちんと書かれていること、見逃されがちな大切なことが書かれていたからというのも答えにはなります。

もっと大切なことは、なぜこういう内容が入ることになったのかという点でしょう。中井は書いています。[重症度の高いもの、後遺症の残りやすいもの、まちがうと取り返しがつかない確率の高いものから先に考えるのが臨床的思考である](『臨床瑣談』)。

マニュアルを作るときに、どういう基準で記述するかを決めておくことが大切だということです。臨床的思考がすべてな適応されるわけではありません。しかしその分野では絶対的な基準になっています。こうした記述するときの基準が大切だということです。

 

3 マニュアルの構成が大切

操作マニュアルならば、いかに上手に説明するかということが一番の問題になります。上手に説明するためには、それに先立って条件があります。ユーザーが誰であるのかを決めなくてはなりません。どういうレベルの人に対して説明するかが大切です。

さらに、そのユーザーにしてもらいたいことを明確にする必要があります。どこまでのことを身につけてもらいたいのかが明確でなくてはなりません。それが明確になったら、目標を達成するために、どういう方法を採るべきかを考えることになります。

マニュアルをどう構成するかということが、マニュアルの価値を決めるのです。マニュアルを上手に作る人は、きれいに作ることよりも、どのようにマニュアルを構成するかを第一に考えていくでしょう。そうすれば、おのずから内容も決まってくるということです。

 

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