■業務マニュアル作成講座を終えて:業務フロー・業務のルール・業務のモデル

 

1 業務フロー中心の発想

業務マニュアル作成講座を行ってきました。年度末にもかかわらず、多数の受講をいただいたことに感謝しています。マニュアル作成の必要性を感じている企業が増えてきているのかもしれません。今回も業務マニュアルの作成を指示されて参加された方がいました。

業務マニュアルを作成するときに、業務フローを基本にして作成していこうとする人たちが思いのほかたくさんいます。こうしたアプローチをとると、苦労することがあるのではないでしょうか。業務フローを最初から作っていくのは、意外に難しいはずです。

業務フローを中心にして業務マニュアルを作ろうとする発想は、あまり効果的なものではありません。業務フローが強力な武器であるのは間違いないのですが、業務フローになじまない業務はいくらでもあります。業務フローを作ろうとすれば気づくはずです。

 

2 必須なのは業務ルール

仕事というのは、「どういう場合に、何を、どうするのか?」ということを必須の条件としています。「どういう場合」が「いつ起こるか」が明確でない場合、仕事はプロセス通りに行きません。フローよりも、その場で処理をするときのルールが必要になります。

業務ルールから業務フローが作られるということです。業務ルールというのは「こういう場合に、どうするか?」ということの決まりであり、業務フローというのは「どういう手順でするのか?」を示します。効率的な定型的な手順がフローになるということです。

業務フローも業務のルールの一種といえるでしょう。業務フローの主な役割は2つです。一つは「混乱の回避」。こういう手順でするように共通化しましょうということです。もう一つは「効率化」。こういう順番で業務をすると効果的ですということです。

 

3 業務のモデル作り

業務の中には、「さまざまな事態が起こる」けれども「いつ起こるかわからない」というものがありますから、その場合、業務フローが作れないということになります。そのときどうするかが問題です。この場合、業務のモデルを作ることになります。

業務のモデルを作ることが業務マニュアルの基本になります。業務をフローにできなくても、1日単位、あるいは1週間単位で何をするのかの目安があって、あとは「こういう場合に、どうするか?」というルールがわかれば、たいてい仕事は見えてきます。

成果を上げる仕組みを作るには、統一したルールの存在が必要条件です。そしてルール作りをするためには、標準化をしようという意識が必要になります。ここでの標準化とは、いわばゲームのルールを整備することです。ベクトルを統一するともいえます。

プロのチームが仕事を効率的にすすめるために必要となるのが「ゲームのルール」であり、ルールを作成するためには全体最適の発想が必要だということです。このようにルールに従って業務を進めていくときの全体像を「業務モデル」と捉えることになります。

業務モデルを作るときに、必須となる内容は2つあります。まずは、想定されるものごとの提示と対処法を示すことです。同時に、最重要項目の提示と優先順位を示すことが必要になります。この業務モデルが業務マニュアルの基礎になるというべきでしょう。