■「誰に・何を・どのように」伝えるか:文章の基本 その3

 

1 簡潔で的確な記述が基礎

文章を書くには、「誰に・何を・どのように」伝えるかを考えることが大切です。ここでいう文章とは、簡潔で的確な記述のできる文章を想定しています。谷崎潤一郎が『文章読本』の対象外にした「精緻で、正確で、隅から隅まではっきりと」した文章です。

仕事でも勉強でも簡潔で的確な記述が基礎になります。そういう文章を書くためには、誰に向けての文章なのかを考えたうえで、「①伝えたい内容を考える、②内容を選ぶ」ということが必要です。練習不足だと「どう書いたらいいかわからない」ことになります。

書く内容が決まっている場合でも、「③適切な言葉を選ぶ、④言葉を並べる」ことが必要です。日本語で書くならば、日本語のルールにそった記述が求められます。この練習が足らないと、しばしば「どう書いたらいいのかわからない」ということになるでしょう。

 

2 テーマに対する質問とその答え

書くテーマが指定されている場合でも、書く内容が決まらないということがあります。こういうとき、どういう練習が必要でしょうか。一番効果的なのは、指定されたテーマから想定される項目に関して、4つか5つの質問をしてみることです。

読む側が期待すること、文中にほしい内容が何であるのか…ということがわからないことがよくあります。質問になっていると、該当する答えが出てくるものです。その答えをつなぎ合わせれば、内容の充実した作文になります。書くことはあるということです。

質問項目は、ありふれたものになります。「テーマに対する印象はどうか」「自分はテーマにどんなふうに関わりがあるのか」「テーマで求められることは何か」「テーマに関して役立ちそうなことはないか」「今後、このテーマはどうなっていくか」…などです。

質問の答えを見て、内容のない場合、そのテーマについての理解が不足していることが考えられます。シンプルなありふれた質問ですから、質問の意図を誤解することはあまりありません。多くの場合、テーマに対する情報不足です。もう一度調べる必要があります。

 

3 「素材がどう料理されるか」

問題となるのは、ここに書いた答えを、どうまとめるかということです。練習不足だと、書かれた中から内容を選択して、読みやすい流れに並べることができません。書く内容は自分で答えたものですが、しかし、まとめられないのです。お手本が必要になります。

本人のあげた答えを素材にして、キチンとした文章にまとめたものを見せることが効果的です。自分が出した答えが、自分にも納得できる形式で示されると、ある種の驚きや感動ととともに、こうすればいいのかという気持ちが働きます。それが効果的です。

まずは素材がどう料理されるかを見ることです。それがどう料理されたかを自分で納得できるようになる過程を経て、自分でもまとめられるようになっていきます。この過程で、文章がどう作られるのかが理解できるのです。そして受動が能動に変わります。

「素材がどう料理されるか」から、自分は「素材を、どう料理するか」という発想への転換が必要です。文章を成り立たせているのは、一文一文です。これが文章の素材、要素です。部品です。これを組み立てる必要があります。設計図にそって組み立てるのです。

⇒この項続きます。

 

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