■就職活動を通じて見えてきたこと:調査能力の欠如

 

1 競争倍率の高かった会社

今年の就職活動も、もう終わりに近づいています。今年は会社からの求人が多くて、全体として学生にとっていい環境だったと言われました。実際にそうだったのかもしれません。しかし当然ですが、希望の会社に入れた人ばかりではありませんでした。

いくつか気になったことを記しておきます。まず6月はじめに内定がもらえると勘違いして行動した人たちが多かった点が気になりました。希望していた数社の最終面接に残った時点で、その他の会社への活動を中止してしまったのです。

今年は例年よりも最終面接の倍率が高かったようです。最終面接に残った人が募集人員の10倍を超えることがめずらしくありませんでした。10倍を超える倍率では、3つや4つの会社に絞りこむのはリスクがあります。確率論から言ったら無謀です。

しかし学生たちが間違えたのにも理由があります。最終面接で10倍を超える会社は全体の中では少数です。競争倍率が2倍に満たない会社もかなりありました。そういう会社を知っているために、最終面接の倍率が10倍を超していると想像できなかったようです。

今年は有名な会社や、何かで取り上げられた会社の応募倍率が高くなっていました。いい会社でも地味な会社にはあまり学生が集まらない傾向があったようです。最終面接まで残った会社の競争倍率が高くて、すべて落ちた学生の割合が確率通りになりました。

 

2 自分で会社が調べられない学生

学生は自分の行きたい会社をイメージで決めがちです。上場会社ならIR情報を公開しているのに、それをほとんど見ていません。困ったことに、就職担当の職員もよく見ていません。あるいは見ても分析ができません。指導など全くない状況です。

3社から内定をもらった学生から、どこがよいのか聞かれました。すべて同業の会社でした。やりたい仕事が決まっているというのは立派なことでした。しかし不思議です。常識から考えたなら、迷う必要がないほど飛び抜けた会社から内定をもらっています。

本人は知らないうちにかなり有望な会社を見つけてしまったのでしょう。その自覚がありません。学校側に聞いても、どこがよいか自分で決めてと言われたそうです。3社を比較したら、特別な事情がない限り、ここ以外ありえないでしょう…と学生に伝えました。

何となくイメージがよいけれども、いまはあまり業績がよくなくて、今年は採用が厳しくなりそうな会社に、学生が殺到した例があります。反対に今後有望な会社に、学生がほとんど集まらないということもありました。何年かしたら人気になるかもしれません。

かつてWeb検索で済ませると批判されていた学生たちが、検索さえあまりかけなくなってきました。自分で検索して何かを調べる代わりに、誰か知らないかとSNSなどで質問を投げたりしています。調べる能力が落ちているのではないかと心配になります。

よく調べないで簡単に答えを聞きがちですから、どうしてもイメージが優先されます。就職活動を通じて、やっと調べることがいかに大切かを知った学生もいます。ただ今年は、そうなる前に、運よくいい会社に入ってしまった学生が圧倒的でしょう。

 

3 知られざる良い会社

6月に希望の会社の内定がもらえなかった学生はその後、どういうコースをたどったでしょうか。ほぼ全員がすぐに活動を開始しましたから、半数以上の人が6月中に内定をもらえました。しかし、そのときに内定をもらった学生が成功したとは言えません。

焦ってあまり希望でない会社に行ってしまった学生が少数ながらいました。内定をもらった後、会社に行ってみたり連絡を取るうち、希望と違ったという相談があります。会社にとっても本人にとっても不幸なことです。結果として就職活動を再開しています。

6月に内定がもらえた人のほうが希望の会社に入れたとも言えません。今年の場合、逆に8月を超えてやっと内定をもらえた人たちの中に、がんばり甲斐のあった人が目立ちました。業績がよくて、8月過ぎに追加の求人があったのです。

内定が決まった人が圧倒的になった時期ですから、競争倍率が下がったのでしょう。喜びを爆発させる学生が何人かいました。他の人が次々内定をもらっている中、希望の会社から内定がもらえなくても、くさらなかった学生たちがかえって成功しました。

実力に比べて名前がまだ知られていない会社がたくさんあります。そういう知られざる良い会社を見つけることが大切でしょう。もっと社会全体でお宝の会社を見つけようという機運があってほしいと感じました。調査能力の欠如が社会にもあるように思います。

 

 

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