■操作マニュアル講座を終えて

 

1 社内向けと社外向け

操作マニュアル作成講座を行ってきました。今回受講された方に、誰に向けて操作マニュアルをおつくりになるのか…とお聞きしたところ、社外向けに作成する方と社内向けの方が、ちょうど半々くらいの割合でした。最近ではめずらしい割合です。

かつて社外向けの方が6割くらいいらっしゃいました。それが2年位前から変化が起こって、8割を超える方が社内向けに作成していました。今回の半々という割合が、今後どうなるのか注目されます。誰に向けて書くのかによって、表現の仕方も変わってきます。

原則的な作り方は、社内であろうが社外であろうが変わりません。ただ社内向けの場合、こういう使い方をして欲しいという主張が強く出る傾向があります。業務システムの利用の仕方を統一したいときなど、特にそうなります。

 

2 誰に・何を・どう表現するか

操作マニュアルを作るときに大切なことは、何を表現するかを考えることです。誰に向けて、どんな内容を、どんな風に表現したらよいのか…を十分に考えることになります。これはビジネス文書を作成するときに共通したものの考え方です。

操作マニュアルを作ることは、会社を代表してユーザーに向けて説明することでもあります。このとき、ユーザーとの距離をどうとるかということが重要になってきます。全体のトーンが、使う側にとって、しっくり来るように調整することが大切です。

ユーザーさんやそれに近い立場の人にモニターになってもらえると、説明のしかたが安定してきます。自分だけで考えていても限界があります。これでわかりますか…という質問に対して、どういう答えがあるのか、それによって説明の仕方が変わってきます。

 

3 使い方のモデル提示

操作マニュアルに求められることは、(1)必要な項目がすぐに見つかること、(2)該当の部分に必要十分な説明があること、(3)その説明がわかりやすいこと…です。これに加えて、全体像が見えるような概説があると、個々の説明がわかりやすくなります。

実際のところ、全ての機能を説明する操作マニュアルよりも、標準的な使い方を提示することのほうが大切になっています。こうした使い方をしたらいかがでしょうか…という使い方のモデルがあると、製品やサービスの全体像がユーザーに伝わりやすくなります。

一部の成功した操作マニュアルでは、標準的な使用法の魅力的なことが成功の要因になっています。まずこれだけやってみてください、もっと知りたくなったら、この後も読んでください…という形式は、読む側の抵抗が少なくて、なかなか効果的な方法です。

今回受講された方々が会社に戻って、今回の講義での話やテキストが、実際のマニュアル作りの参考になったらよいなあ…と思いながら講義を終えました。ご質問を受けられるようにしてあります。あとは実践を通じて工夫していっていただけたらと思います。