■研修の受講のあとに:実践につなげる工夫
1 研修をどう生かすか
研修を実施したあと、それを成果につなげることは、かなりむずかしいことだと言われています。実際に研修に関わる人間からすると、残念無念な事例を何度となく聞きます。その一方で、成功した事例もあります。
先日、研修の相談をさせていただいているときに、担当者の方が、研修実施のあとに、組織にそれをどう生かしていくか、問題だとおっしゃっていました。大切な問題意識です。こういうとき、成功事例から学ぶことが大切だろうと思います。
私の場合、文書とマネジメントのかかわりについてお話しすることがほとんどです。それを生かすには、実践が必要です。どうやって練習していったらよいのかのお話もいたします。しかし、どうぞおやりくださいと言うだけではなかなかうまく行きません。
2 自己学習できる人は少数
プロジェクトマネジメント協会の2015年のシンポジウムでも、3ステップの要約の仕方を説明して、その場で演習を行っていただきました。そのまま実践できるものだろうと思います。ありがたいことに、実践してくださっている方から、ご連絡いただきました。
しかし、講義でも申し上げましたが、本当に継続してくださる方は数パーセントの方に過ぎません。これはよほどやる気のある人しか、継続しないということでもあります。ビジネス人は忙しいですから、自己学習といってもなかなか実際の行動につながりません。
こういうとき、企業研修には有利なところがあります。同じ講義を何人もの方が受けますから、その受講された方の中で、実践しようと思う人たちが集まることができます。仲間と勉強会を作ってやってみると、仲間がいることで継続が容易になります。
3 成功事例が大切
本当は、研修を実施する責任者が、研修のあとの会社側の対応まで、考えておくべきなのだろうと思います。実際にそれをやっている組織は、成功しています。この件、中島一(はじめ)先生からお話が聞けました。研修で成果を上げる方法があるということです。
会社側が研修をしたら、やる気がある人、モノになりそうな人たちだけでいいから、とにかく成果を上げてしまえばいいのだ…ということでした。数名でも、実際に成功する事例を作ることがポイントのようです。その人たちが、組織の核になっていきます。
いかに成功事例が大切かということです。専任の研修担当者ではなくて、おなじ仕事をする仲間の中に、出来る人が出てきた場合、その他の人への影響も大きいものがあります。職場で専門的な仕事をしながら、必要に応じて指導できる存在は貴重です。
すでにこれに類似した方法を取っている組織もあります。研修後、希望者を募って、直後からメールでの個人指導をはじめます。その後、再研修を実施し、一定レベルに達した人が、会社の教育担当になっています。この人達も教えることで、実力がついていきます。