■文書の検証方法

 

1 文書の評価ができない

研究会や講義のあとに、しばしば出てくる話題があります。自分の作った文書が良いか悪いか、どうやって判断したらいいのかわからないというものです。点数をつけてもらって定量的に把握するのなら明確ですが、文書の良し悪しなど、単純に評価できません。

もともと正解がないものですから、簡単な評価法などありません。もちろん、ものによっては指導が可能なものもあります。簡潔な文を心がけようとして、要約をしているという若手の人がいました。自分で要約しているだけなので、自信がないと話していました。

たしかに要約の場合、見てもらった方がよいかもしれません。この水準でないとまずいというある種の正解がありますから、きちんとした指導なら、効果があると思います。ただ指導する側も大変です。指導者が少ない点が問題かもしれません。

 

2 自分なりの評価法が必要

要約の場合、良い悪いの評価がある程度できるでしょう。しかし、もっとページ数が多かったり高度な文書になると、そもそも正解がわからないのですから、評価をすること自体、難しくなります。こういう場合、どうしたらよいのでしょうか。

おそらく明確な評価方法などないだろうと思います。それでも文書作成を専門的におやりの方なら、自分なりの評価をしているはずです。一般的な方法とはいえそうにありませんが、大切な文書を作るときに行っている私流の方法をご紹介します。

まず、完成度が低くても具体的なものを作ることを基本とします。具体的なものがないと、不安定です。アイデアだけでは何も具体的に動きません。叩き台があったら、そこからスタートすることが出来ます。いわゆるプロトタイプアプローチをとることです。

 

3 具体的なものをもとに検証する

叩き台を作ります。印刷します。具体的なものを見てみれば、それがダメなのは自分でもわかります。そのダメさの感覚が、具体的なものに対してであるために、何がどうダメなのか気づきやすくなります。具体的な部分や構成のダメさを感じることになります。

あまりにこの部分が貧弱だとか、想定していたことが全く表現できていないとか、これだと自分の言いたいことが伝わらないだろうとか、そういう感覚的なものに過ぎません。この感覚が大切です。ある種の目指すものがあるからこそ、違うということなのです。

どうしたらよいかを考えた上で、叩き台を没にします。前の影響をあまり受けないように、また新たに作り直します。一度作っていますから、新たに作ってもとんでもなく時間がかかるわけではありません。そうやって作った叩き台を、また確認・検証してみます。

 

4 偶然の成功を利用する

検証といっても、感覚的にぴたっといったかどうかの判定にすぎません。きちんとしたチェックなどできません。何となくおかしいということをふまえて次を考えます。こうやって何度も作るうち、偶然にぴたっといく部分が出来てきます。

正解がわからないのですが、しかし、ぴたっと来る感覚はあります。これを利用します。何度もやるうちに、うまくいった感覚が蓄積されてきます。どうしたらよいかわからないながら、ダメなものを徐々に排除できるようになってきます。

たいていの場合、やってみたら偶然うまくいったということです。そのときが大切です。その前のダメなものと比較することで、何がうまくいった要因なのか、具体的に検証することが出来ます。偶然に再現性を持たせることが可能になる場合もでてきます。