■「は」と「が」をめぐって その5


▼選択して結びつける「が」

日本語の「は」「が」の使い分けについて、日本語上級者の高さんのメールをもとに考えています。前回、第2ルールをもとに検討中でした。「私が高です」と「私は参加しました」の「が」と「は」のニュアンスの違いはどこにあるのか、問題にしました。

まず「私が高です」から整理してみましょう。

「私が」という言い方には、私を選択するニュアンスがあります。その選択したものを述部と結びつけています。ここでは、両者の結びつきが大切です。例文で言えば、「私」を選んで、それを「高です」という述部に結びつけています。

結びつきが大切ですから、省略できません。「私が」も「高です」も、両方とも必要です。ただ、この場合、「ほかの誰じゃなく私」を選択していますから、その意味から、「私が」の方に注目がいきます。

 

▼1対1対応かどうか

「私は参加しました」の「私は」というのは、他の誰かは知らないけれども、少なくとも「私に関しては」ということでしょう。「は」というのは一般的なことがらに接続する傾向があります。ここでは、「私」に思い入れはないのです。

一般的なひと・もの・ことを並べるとき、「は」が接続します。その項目を強調することで、他と区分することになります。

先の「私が」=「高です」は、1対1対応でした。「私は参加しました」の場合、何人参加したか、わかりません。1対1対応ではありません。とにかく「私」は参加した、という点を強調することになります。

 

▼「が」「は」のニュアンスの違い

ここまでをまとめておきましょう。
「が」を接続する場合、筆者が選択した項目を、述部と結びつけるニュアンスがある。
「は」を接続する場合、項目を客観的に強調して、他項目と区別するニュアンスがある。

以下の例文の使い分けも、上記で説明できますね。
≪昔むかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山に柴刈に、おばあさんは川に洗濯に行きました。≫

「おじいさんとおばあさん」を選んで、あるところに「いました」よ、と主役を登場させています。続いて二人を、「おじいさんは」「おばあさんは」という形式で、一人ずつ説明しています。

 

▼「未知」と「既知」…?

大野晋は、「昔むかし…」の話を元に、「おじいさんとおばあさん」は未知の存在だから「が」が接続し、それが既知になったら「おじいさんは」という風に「は」が接続するようになると説明しました。

しかし、「あなたのお嫁さんは、私が見つけます」という例文の場合、困ったことになります。まだ見ぬ未知の「お嫁さん」に「は」がつき、おそらくかなり親しい既知の「私」に「が」がつきます。

「は」と「が」の違いについて、多くの人たちを啓蒙した有名な説ですが、この説をとることはできません。(この項つづきます。)