■マーケティングと戦略について:各論と総論の関係

      

1 マーケティングの定義

マーケティングを明確に定義するのは、そんなに簡単ではありません。マネジメントの領域では、用語の概念が明確に定義できていないことの方が一般的と言ってもよい状態でしょう。それでも、アメリカマーケティング協会(AMA)の定義がよく知られています。

1960年に改定された定義では、「生産者から消費者あるいは使用者に、商品およびサービスの流れを方向で来る諸事業活動の遂行」というものでした。これが1985年、2004年に改定され、さらに2007年に再定義されています。このあたりで落ち着いたのでしょうか。

2007年の定義では、「マーケティングとは、顧客、取引先、パートナー、そして社会全体にとって価値のある商品やサービスを創造、伝達、提供、交換するための活動、制度、およびプロセスを指す」となっています。このあたりが標準的な定義なのでしょう。

      

2 戦略とマーケティングの関係

もっとシンプル化してしまえば、マーケティングとは、「誰に対して、何を、どのように提供するかを決める活動」ということになります。個人もマーケティングをなす存在です。私自身は、こう考えてきましたが、多くの場合、この方がわかりやすいと言われます。

マーケティングの概念は、だいたいこんな感じだとしましょう。実質を見ると、この活動は、戦略を決める活動だと言えます。戦略を機能から考えてみると、目的を達成するのに、誰に、何を、どうすれば良いのかを考えるという要素が中核になるはずです。

実際、「戦略を考えなくてはいけない、そうマーケティングだよ」という会話が成り立ちます。少なくともビジネスで戦略を考える際、戦略の概念はマーケティングの概念と、かなり接近していると言ってよいでしょう。中核は、「誰に・何を・どのように」です。

     

3 総論と各論の関係

戦略概念を整理して、「ビジョン⇒イシュー⇒ツール(コンセプト+ストーリー)」というプロセスを考えたことがあります(【「戦略とは選択である」をめぐって:戦略概念の整理】)。プロセスは、これでよいかもしれません。では、機能はどうなるのでしょうか。

問題に対して、どうしたらよいのかを考えることが中心です。ここでは「何を」を中心に考えることになります。当然ながら、「誰に」対してなのかを明確にしなくてはなりません。さらにツール(コンセプト+ストーリー)は、「どのように」に該当します。

戦略の中核にマーケティングありと言うと、妙な感じもしますが、ここで言う中核とは、戦略は総論、マーケティングは各論だということです。具体的に言えば、大枠を決めたら、各場面で「誰に・何を・どのように」を考えなくてはいけないということになります。

清水勝彦は『戦略の原点』(2007年)で、戦略を立てるアプローチとして、<Who(Customer)、What(商品、サービス)、How(Company)の枠組みでまず考えます>と記していました。戦略とマーケティングの関係は、総論と各論と考えることができるでしょう。