■ビジョンとポジティブ・フィードバック

     

1 目指す姿や到達点がリアルに見えること

前回ふれた湯澤剛『ある日突然40億円の借金を背負うーそれでも人生は何とかなる。』の中に、ある程度余裕ができてきたころ、「目指す姿や到達点を具体的に、ビジュアルつきで、リアルにイメージできることが必要だ」と痛感したという話がありました。

これがビジョンなのでしょう。繁盛したお店で、圧倒的なメニューや活力を見て、自分たちを圧倒するのがわかりました。ああいうものを、自分たちのお店でもやりたい、自分たち流に達成したいという思いがわいてきたのでしょう。それから担当者も変わります。

こうなりたいという到達点が見えてくれば、そこから具体的に考えられますが、到達点が見えないと、何をやったらよいのか、具体的に考えることが難しいということです。ビジョンの機能というのは、具体的に考え始めるための基礎になっていると言えます。

    

2 稲盛流のビジョン

ちょっとめずらしい文章を見つけました。ロバート・シュラー『いかにして自分の夢を実現するか』という本に、稲盛和夫が解説を書いています。稲盛は「潜在意識にまで透徹するほどの強い持続した願望、熱意によって、目標を達成しよう」と言うのです。

[疑念や曇りが心の中にあるなら、一生懸命シミュレーションをやるべきで]、[納得するように自分の頭の中で問題を解決し、不安が一点も残らないように、構想をまとめ上げる]、[このように考え続けていくと、「見えてくる」]ということでした(p.7)。

[起こしたい事業が、本当に、数字、形は言うまでもなく、色まで、細部にわたってありありと目の前に見えてくる]とのこと。[こうなれば、もう心に迷いが生じません](p.7)。自分が進むべき方向が見えてくるのです。これは稲盛流のビジョンでしょう。

    

3 ビジョンとポジティブ・フィードバック

「これだ!」というものが見えてくることによって、具体的な構想が立てられるようになってくるというのがビジョンの機能と効果と言えそうです。逆に言えば、具体的な構想が思い浮かんでこないようなものは、ビジョンになっていないと言うこともできます。

湯澤の本にある話は、まさに自分たちが目指す方向を示す、具体的な姿が目の前にあったということです。繁盛店を見て、自分たちが何をしたらよいのか、見えてきたからこそ、行動につながりました。これは実際のお店で、具体的な姿を見てのことです。

こうありたい、こうなりたいという思いを抱いていると、そういうものが見つかるということが、よくあります。成功事例を見つけるということです。そこから進むべき道が見つかる可能性が高いでしょう。ここでの成功事例には、自分たちの成功も含まれます。

良い事例、成功事例を見て、これだと思ったら、それを詰めていくこと、これはポジティブ・フィードバックです。ビジョンは多くの場合、ポジティブ・フィードバックから生まれるのでしょう。それを徹底的に詰めることにより、ビジョンになると言えそうです。