■何から手をつけ、どう行動するかの参考書:湯澤剛『ある日突然40億円の借金を背負うーそれでも人生は何とかなる。』から

     

1 突然の危機に直面したときの対処法

突然の危機に直面すると、何から手をつけてよいか、わからなくなるでしょう。そういう体験をした人が書いた本が湯澤剛『ある日突然40億円の借金を背負うーそれでも人生は何とかなる。』です。著者は、父親の居酒屋チェーン店を引き継ぐことになりました。

放漫財政、やる気のないスタッフ達、失敗の典型のようなお店です。銀行などから借金の取り立てもありました。しかしあるところから、状況が転換していきます。まず最悪の状況を明確にイメージすることにしました。それは破産です。5年頑張ろうと決めます。

5年生き延びればよしと決めて、根本的な解決策を考えていきました。答えは、[希望となる一店舗さえ作ることができれば、他の店も劇的に改善するはずだ](p.110)というものです。自宅から一番近い店に500万円ほど投資して、店名を変えてオープンしました。

    

2 強みや、すでに持っているものに集中

新しいお店は3か月しても、軌道に乗りませんでした。従来の店の弱点を改善したはずでしたが、[誰をターゲットにした店なのかわからなくなっていた](p.116)ようです。弱い者こそ、[強みや、すでに持っているものに集中すべき](p.117)でした。

[そこで、女性客、若者客、ファミリー客を追いかけるのを潔くやめ、以前のように≪中高年男性客の日常使い≫に自社のターゲットを定めた]のです(p.117-118)。[メイン顧客を明確化し、その人が喜びそうな店をつくる](p.120)ことにしました。

[うちの客層に喜ばれるサービスに集中](p.121)して成功したのです。これを展開します。[一点突破・全面展開はこうして成功](p.123)しました。目標はささやかな、[お客様の1番、2番が満席だった時、思い出してもらえる店にしよう](p.127)でした。

      

3 何から手をつけ、どう行動するかの参考書

もう一つの方針が「縮小均衡策」です。[効率が悪く利益額が少ない店舗は閉店し]ます。[優秀な人材を1店舗に集めてチームワーク良く運営する]のです(p.135)。1店舗が3店舗分の利益を生むことにもなりました。3つの自社ビルも売却しています。

不動産の売却損により、店舗の利益が償却されて、借金返済が進みました。[縮小していくことによって、利益は上がっていったの]です(p.138)。当時の[社員70名の1人ひとりと、「1対1の関係」をつくった](p.141)ため、マイナス情報も見えてきました。

また、[目指す姿や到達点を具体的に、ビジュアルつきで、リアルにイメージできることが必要だ]と痛感します。商品開発の担当者たちと、東京の繁盛店を視察した際、[圧倒的な商品を見て刺激を受けた彼らは、自分で考え、動くようにな]ったのです(p.206)。

湯澤はこの間、ずっとノートに日々の記録を記述していました。[今、自分はどのような心の状態か? どんな感情が出ているか? ということを、常に客観的に意識するようにしていた]のです(p.175)。何から手をつけ、どう行動するかの参考書になっています。