■発想の転換を促す生成AIの変化:国立情報学研究所・佐藤一郎教授の講演から
1 生成AIで効率化を目指すバカげた傾向
先日のシンポジウムでは、国立情報学研究所の佐藤一郎教授の講演が圧倒的でした。生成AIに対する認識のズレを指摘する内容です。AIによる文章生成は、2025年の途中から、入力された言葉に関連したWebの情報を検索して、文章を生成するモデルに変わりました。
使い勝手がよくなって、利用が拡大しています。その結果、文書の洪水が起こり、読み切れないので要約して読むという、バカげた現象まで起こりました。依存が決定的になる頃には、十分すぎる請求が来るはずです。そして知識は残らず、新人も育たないでしょう。
業務を再構築しなくてはいけないときに、生成AIを中途半端に入れて、効率化を目指すというのが一番まずいと、佐藤教授は指摘します。効率化というのはコストに焦点を当てた発想です。それより、今までできなかったことに使わなくては、意味がないでしょう。
2 生成AIによる知識の価値創造
顧客ごとの商品カタログを作るのは大変ですが、生成AIなら可能になります。問い合わせに対して、個別回答も出来るようになるでしょう。あるいは安全性向上に使うこともできるはずです。もう一度、生成AIの原理と強みを考えた使い方が求められています。
今年から、音声と生成AIとの組み合わせが可能になりそうです。話しかけると、内容のある返答がなされるようになります。しかし、これをただのやり取りに使うだけでは意味がありません。何らかの業務に組み込んで利用することで、意味のある使い方になります。
生成AIを使うことによって、企業の知識が価値になる方向に進んでいくべきだということです。企業のノウハウをAIに取り込んで、繰り返し利用すれば、知識が蓄積され、価値が高まっていきます。こうした循環を促すためには、業務の再構築が必要になるのです。
3 発想の転換を促す生成AIの学習モデルの変化
佐藤教授は、生成AIの従来の学習モデルから、転換が起こっている点を指摘しました。生成AIで実データから様々なパターンをつくるほうが、正確な結果が出るようになっています。果物の品質検査などは、この方式に変わって、成果を上げているのです。
さらにフィジカルAIになると、現場データがいらなくなります。仮想環境でデータを取るのであれば、事故についても実験ができるのです。もはや現場データにこだわっていたら失敗します。生成AIの学習モデルが大きく変わってきました。発想の転換が必要です。
ことに、生成AIでの予測は画期的な成果になるでしょう。現実との比較で、異常が発見できます。通常なら、こうなると予測しておいて、違う結果が出たら異常です。シミュレーションのように、対象をモデル化する苦労も必要もなくなり、精度も格段に向上します。
AIを効率化やコスト削減に利用するという発想では、生成AIの本来の使い方からズレるのです。人間の能力を向上させ、さらに生成AIによって知識を強化し、いままでできなかったことを実現するビジネスモデルが必要になります。それを考える必要があるのです。
