■標準を作ること:ドラッカーの知的活動に関するルール

     

1 パソコン、メール、インターネットを使わないドラッカー

便利な危機は、利用する人が増えます。あえて利用しないのは、なかなか大変なことになりそうです。しかし、あえてそうしている人もいます。ドラッカーに聞いた話を本にまとめた酒井綱一郎『ドラッカーさんが教えてくれた経営のウソとホント』にあった話です。

[「パソコンは言葉ばかりがいっぱい出てきて、言葉が躍る文章になる」とタイプライターにこだわっていました](p.235)とのこと。電子メールを使わずに、ファックスを使っていたのは、「届いたかどうかがわかりやすい」からということです(p.236)。

あるいは[なにかを調べたいときにインターネットで調べるのが便利だと言われるが、私は電話を使う。その道の専門家に電話をしてわからないことを聞く方が効果的だ]ということでした(p.236)。この種の話は、有名人ならでは、ということもあります。

    

2 本を書くときのドラッカーの方法

かつてはタイプライターで書くと、機械的になると言っていた人がいたらしいのですが、日本では、タイプライターが使えてうらやましいという発想の人もいました。機械に対しては、上手に使いこなす、使いすぎないようにする、ということに尽きる気がします。

便利になっても、自分のそれまでの方法を変更するのが嫌だという人は、少なくありません。ただ、21世紀になったばかり頃には、インターネットは、まだあてになりませんでした。ドラッカーと同じような立場にある人ならば、専門家に直接話を聞くべきでしょう。

[タイプライターで概要を書き、テープレコーダーに吹き込む。アシスタントにタイプしてもらい、その粗書きを読んで捨て、また書き直す。その繰り返しから二冊の小説、一冊の自伝を含む二九冊の本を書き上げました](p.236)、これは参考になるかもしれません。

    

3 標準を作ることの大切さ

じつは、何が一番効率的かは、その人によりけりなので、決定的な解答はないように思います。しかし一方、生産性の高い人たちには、知的活動のスタイルというべきものが整備されていることが多いのは、間違いないようです。方法の標準化は必要なことでしょう。

効果的な方法、有効な方法を探ることによって、自分流ができるのだろうと思います。人がどうやっているかを聞いて、参考にするのは良いかもしれませんが、そのままを真似したところで、それを考えた人ほどの効果を上げるのは、おそらく無理でしょう。

どういう仕組みで、何をどうしていくのが良いのか、基本的なスタイル、方法を検討していくことが、大切なのだろうと思います。効果を上げるには、試してみなくては分かりません。試した効果を、自分なりに評価して、価値を判断する必要があります。

ドラッカーの事例をふと思い出して、確認してみた結果、自分ルールを作っていたという点が印象的でした。これは業務を考えるときの、基本でもあるでしょう。業務と同じように正解はないものですが、標準があれば、改善していけるという点でも、同様です。