■読み書き能力を各自が検証すべき時代
1 効果が実証されていないST訓練
脳機能の研究が進んでも、依然わからないことばかりの状況でしょう。スマートフォンを使いすぎると、脳機能が低下するリスクがあることは間違いなさそうです。おそらくその研究もあるのでしょう。しかし、どうすれば良いのか、明確になっていないようです。
あるいは生成AIをずっと使っていると、一発回答がないと困るようになるかもしれません。こういうとき脳機能はどうなっているのでしょうか。その場合、どうするのが効果的なのか、研究の裏づけが取れるのには、時間がかかりそうです。どうすれば良いでしょうか。
言葉が不自由な人たちに向けたリハビリテーションを、ST訓練ということがあります。スピーチ・セラピストによる訓練です。病院で行っていますが、効果は実証されていません。脳卒中学会のガイドラインの言語障害の項目を見ても、そうした評価です。
2 エビデンス確立に手間取る広い領域の問題
様々な研究が進んでも、ではどうすれば良くなるのという点の研究は、簡単には出てこない傾向があります。言葉が不自由になった失語症の人たちと障碍者の会でご一緒させていただきましたが、そんなに簡単に、こうすれば良いとは言えないものです。
医療の場合、研究結果が検証されて、これが正しいという証拠=エビデンスにもとづいて治療方法が採用されています。エビデンスにもとづいた医療が標準医療になるのは当然でした。医療の進歩にもつながっています。それでも、わからないことばかりでしょう。
エビデンスを求める領域が狭くなるほど、結果が出てくる確率が高くなる傾向があります。逆に広い分野の場合、個別対応になりがちです。明確なエビデンスの確立は、簡単に期待できません。しかし広い領域の問題ほど、個別の成功事例が多数でてくるものです。
3 各自が読み書き能力を検証する時代
スマートフォンの利用が進み、生成AIの一発回答を見るだけになっても、テレビを見るだけより、良いという考えもあるはずです。そういう声も聞こえてきました。各人の考えに基づいて、どうすべきかを考えるしかありません。問題意識があるかどうかによります。
障碍なしに、読み書きできることが、どれほどありがたいことか、身にしみて感じてきました。だからこそ、言葉の獲得のための訓練法の確立が重要になります。スマートフォンや生成AIの利用の影響も、中核となるのは、読み書き能力への影響になるはずです。
読み書きの能力について、あるいはその訓練方法について、各人がもう一度、本気で考えてみる価値はあるでしょう。生成AIが作った文書以上のものが作れる人が、2割しかいないとも言われます。実際のところ、文書作成能力が落ちているのも確かでしょう。
生成AIの登場で、読み書き能力という基本となる脳機能と、もう一度向き合う必要が出てきました。各自が検証しながら、工夫することは可能でしょう。理論やエビデンスは、あとからついてくるかもしれません。読み書きを各自が検証する時代になったのです。
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