■なぜ日本株式が上昇しているのか?:中国の成功モデルの終焉と製造業
1 なぜ日本株式が上昇しているのか?
日本の株式市場が、少し前から急速に上昇しています。日本だけではないのですから、そう驚くことではないのかもしれません。しかし、以前の低迷していた株式市場を、若者たちでも知っています。高市政権になってからの上昇率が高いのも気になるようです。
なぜ株価が上昇したのか。ひとまず、「将来の日本企業の利益が増えると予想する人が多いから」という答えが思い浮かびます。では、なぜ日本企業の利益が増えると予想するのでしょうか。ここまで来ると、日本一国の問題とは言えなくなります。
世界の経済構造が、今後大きく変わるという見通しが強まってきたからでしょう。さらに高市政権が、今までの経済運営を変えようとしているとみられていることも、原因といえそうです。トレンドが大きく変わってきたという認識があるのは間違いないでしょう。
2 ヨーロッパ諸国の利益と一致した明治維新
例えば明治維新は大きな事件でした。蘭学者のおかげもあって、欧米事情をかなりの程度、日本人は把握しながらも、多少の抜かりもあったようです。このあたりの事情を、宮崎市定が1958年の「東洋史の上の日本」(『宮崎市定全集 21』)に記していました。
▼明治維新以来の日本の歴史が、順風に帆をあげたように着々実績を挙げることができたのは、それがヨーロッパ諸国の利益と一致したからだ。ヨーロッパ諸国はアジアの最も便利な地点において、安心して利用できる基地が欲しかったのだ。ヨーロッパ列強が植民地化して利益を上げ得る最大の目的物は中国である。 p.408
冷戦が終わってしばらくすると、欧米が投資先として目をつけたのが中国でした。中国側も投資を積極的に引き込みましたから、中国は空前の経済発展をします。外資系企業が次々進出して、国内企業と合弁会社を作りました。この流れが変わってきたのです。
3 日本企業の関与する確率が拡大
中国では、土地所有を認めない代わりに定期借地権に類似の制度で、不動産売買が可能になりました。これにより大きな資産が生み出されていきます。不動産が経済の基礎を支えながら発展していきました。これが逆回転して、金融まで痛めるようになっています。
日本という基地など不要な時代ですから、欧米諸国は中国と直接交渉して進出しました。ドイツは、ロシアからパイプラインを通じたエネルギー供給を受け、中国進出でも先頭ランナーでしたが、経済不調を起こしています。中国の成功モデルは終わりのようです。
欧米諸国は、製造の他国依存のリスクに気づくのに遅れました。日本の場合、30年間の経済低迷にもかかわらず、世界最先端を行く製造業が多く残っています。しかし欧米の製造業は、かなり弱体化してしまいました。もはや中国依存の拡大はリスクになります。
現在、生成AIの急速な技術革新が起こり、需要増が予測される業種が増えてきました。今後、高品質のモノづくりをする場合、日本企業の関与する確率が高まっています。経済政策で失敗しない限り、製造業への回帰により、日本の株式市場は下支えされそうです。
