■鈴木敏文セブン-イレブン・ジャパン創業者の著書について:統計学と心理学

   

1 隠れた大学院時代

セブン-イレブン・ジャパンの創業者である鈴木敏文さんが、5月18日にお亡くなりになったとのこと。直接お話をお聞きしたことはありませんが、鈴木氏に関するたくさんの本がありますし、ご本人の話した言葉も本になっています。すでに伝説的な人でした。

勝見明は『鈴木敏文の「統計心理学」』で、1956年、トーハンに[入社後まもなく配属された出版科学研究所での三年間]を「隠れた大学院時代」と記しています。[このとき、統計学と心理学に出会っている](p.136)のです。鈴木の言葉が、記されています。

▼夜は夜で、慶應義塾大学や立教大学の先生方を招いて、統計学と心理学の講義です。その後、ヨーカ堂に移ってからも、データとは何だ、調査とは何だと無意識のうちに突っ込んで考える癖がついたのは、そのときの経験があったからです。その意味で、出版科学研究所時代は私にとっては一つの大学院でした。 p.137

      

2 統計学や心理学の基礎が必要

現場を見なくてはならないのは、当然のことでしょう。その時、何をもとに見ればよいのか、何らかの考える原則が必要です。鈴木にとって、統計学と心理学が大きな武器になっていたことでしょう。鈴木の言葉を理解するには、この点の考慮が必要だと思います。

1956年頃の統計学や心理学ですから、いまの最先端の学問からすれば、古いかもしれません。鈴木が「一つの大学院」で学んだことは、現在なら大学生向けの定番の基本書の水準レベルだろうと思います。それらを読めば、当時と同じレベルの勉強はできそうです。

少なくとも、鈴木の本を理解しようとする場合に、統計学や心理学の基礎が必要だと気がつきました。鈴木の語る言葉が、どこかわからないという気持ちがあったのです。基礎学力がないから、わからないところがあったのでしょう。今頃、気がつきました。

     

3 『商売の原点』『商売の創造』『考える原則』

鈴木敏文の『商売の原点』『商売の創造』と『考える原則』は、[1300回以上にものぼる毎週一回のセブン-イレブン・ジャパンの社内会議での講話](『考える原則』まえがき p.3)をもとにした本です。本人の言葉は、今後も繰り返し読むことが出来ます。

これらをもう一度読んでみようと思いました。『考える原則』は、[「自ら考えることのできる能力」をどう育てるか](p.5)に焦点を当てたものであり、読み始めるのに良い一冊でしょう。以前に読んでいるはずですが、もう一度、読んでみたいと思います。

何だか、よくわからないという箇所が見つかったら、今度は、それらに印をしておいて、何でわからないと感じるのか、検証してみるつもりです。たぶん、統計学や心理学の本が、その時必要になるのでしょう。少なくとも、ヒントが得られる可能性があります。

講話ですから、学問的な基礎がなくてもわかるように、話をしていたことは間違いないでしょう。しかし本当のところは、その場にいなかった者には、わかりはしません。ご逝去の報道を聞き、いくつかの本を引っ張り出すうち、もう一度やり直しだと思いました。