■人間ならではの仕事:生成AIとの棲み分け
1 専門知識も生成AIにより置きかえ可能
生成AIの技術進歩は、もはや誰も否定しないでしょう。この技術が私たちの仕事の状況を変えることも、間違いありません。テキストをもとに、その内容をスライドにすることなど、いまでは簡単にできます。仕事に影響が出てくるのは、当然のことです。
1920年代に機械化が進み、自動化が大きな影響を与えました。いわゆる肉体労働と言われるものが、機械に置きかわりましたから、従事者の数は減少していきます。肉体労働の英語は「manual labour」でした。頭を使わないというニュアンスがあったようです。
機械化・自動化によって、仕事の内容が変わっていきます。専門知識やノウハウを仕事に活かして、付加価値をつける必要がでてきたのです。しかし、専門知識と言われるものやノウハウだと思われたものの一部が、生成AIによって置きかえ可能になりました。
2 人間のやるべきことと生成AI
図解講座の講義の際、イラストは費用対効果が低いというお話をしたことがあります。イラストだけ見ても、文書の内容は分かりません。イメージだけしか伝わりませんから、内容を把握してもらうには、ポイントを絞った記述と、シンプルな図のほうが効果的です。
文書中のイラストは、ドラマの背景に流れる音楽のようなもので、ある種のイメージを示しす。そこに労力をかけるよりも、シンプルで的確な図を作ることのほうが大切です。いまでは生成AIが、この背景に流れる音楽も作れるようですし、イラストも作れます。
あるいはプレゼン資料のように、スライドで内容の要約を示してくれることも可能です。大量の文書がどんな内容なのか、簡単にわかりますから、こうした要約機能も上手に使えば、効果があります。人間がやるべきことが、だんだんはっきりしてきたようです。
3 中核はシンプル、実践が重要
文書で言うならば、大切な文書であるならば、そこでの主張の中核をどこに置き、全体をどう構成するのかといった、大枠は、文書作成者が決めなくてはなりません。一方、形式的な文書で十分ならば、そのアイデアまで生成AIが作ることも可能になるのでしょう。
メリハリが必要になります。重要文書の主張の核を決める場合、その主張が明確でシンプルであることが絶対的な条件です。明確ならば、シンプルになります。大切な図であるならば、シンプルなものになるはずです。中核はシンプルという原則が適応になります。
コンセプトは、一行で示さなくてはならないものです。こうした原則が再確認されることになります。これが明確ならば、文書全体のなかから、その要約や周辺のものを生成AIが作ってくれるはずです。何が人間本来の仕事なのかが、見えてくることになります。
コンセプトに限りません。計画が立っても、それを実行するのは人間です。実行のために、様々な苦労があります。実践する人しかわからない苦労とノウハウが貴重です。生成AIが進歩するほどに、人間ならではの仕事というものの中核が見えてくることになります。
