■ただいま難航中:訳文と解説の日本語がつらいウェーバーの論文
1 『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』
ウェーバーの『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』は、岩波文庫の折原浩の解説によると、[ヴェーバーの『学問論集』に収められた論文の中では最も体系的で、専門家以外の一般読者に向けて書かれている](p.13)文章なのだそうです。
幸いなことに折原が、[段落ごとに論点をおさえ論旨の展開を追いながら、経験的モノグラフからの具体例(方法論の展開例)を織り込む解説を、訳者の責任において付けて]いる(p.13)とのこと。読んでみようと思いました。しかし解説の日本語が理解できません。
最初の方でも、最後の方でも苦労しています。たとえば[経験的知識にのみ固有の真理には価値があるという信仰が基礎になければならない]という文があります(p.306)。「経験的知識にのみ…価値がある」のか、「固有の真理には…価値がある」のか不明です。
2 文を分析すること・文脈を読むこと
文意がとれないとき、文を分析してみるか、文脈を読む必要があります。先の例では、そのすぐあとに[経験科学的真理の価値にたいする信仰](p.306)とありますから、「固有の真理には価値があるという信仰」のようです。これは文の分析ではわかりません。
一方、折原がいくつかの訳文を検討して[英訳のみ、原意を的確にとらえていると思われる](p.344)と言うほど、問題のある箇所があります。翻訳文を並べた中に、英訳を日本語にしたものが付されています。しかし意味をつかもうとしても、よくわかりません。
▼社会諸科学の「客観性」は、むしろ、経験的データが、つねに価値理念に関係づけられ、もっぱら価値理念によって知るに値するものとされ、経験的データの意義が価値理念から導かれる、という事実に依存している。 p.341
3 文法的分析に基づく解釈
上記の文は、センテンスを分析すれば、ある程度まで理解できる気がします。文の構造は、「社会諸科学の「客観性」は」+「…という事実に」+「依存している」という「主体+対象+文末」の文です。問題は「…という事実に」の内容がどんなものか、でしょう。
主体:経験的データが、
対象:つねに価値理念に
文末:関係づけられ、
主体:(経験的データが)、
文末:もっぱら価値理念によって知るに値するものとされ、
主体:経験的データの意義が
文末:価値理念から導かれる、 …という事実に
(1)「経験的データ」は「価値理念」と関連づけられ、(2)「経験的データ」は「価値理念」により知るに値すると評価され、(3)「経験的データの意義」は「価値理念」から導かれるのです。価値理念との関係で、経験的データは意味を持ち、意義があります。
≪社会諸科学の「客観性」は、以下を前提とします。経験的データに意味があり、また意義があると評価されるのは、経験的データが価値理念に基づき、そこから導き出されているからであるという前提です≫、こんな意味なのでしょうか…。難航しています。
