■企画書の書き方:核心となる内容を一行で表現することが不可欠

1 紙にまとめるタイミングが大切

野地秩嘉『企画書は1行』に、マネックス証券の松本大社長の企画書の話が紹介されています。マネックス証券を起業するとき、「暗黙の了解」「えもいわれぬ慣習」といったものを排除して、[商法と契約と理念の会社にしたいと考えた](p.144)とのことでした。

ソニーからの出資を得ましたが、[準備会社を作るまではすべて口頭の説明だけで、企画書は一切出しませんでした](p.147)。[はじめから企画書を渡したら、事業に関係のある大勢のスタッフが出てきて、企画書の検討会になってしまう](p.148)からです。

▼企画書を完成することに意味があるのではなく、企画を通すことが目的です。わたしが口頭で説明を続けていたのは紙にまとめるタイミングを見計らっていたのです。 p.148

     

2 誰に・何を・どのように書くか

企画の良し悪しも大切ですが、文書としての企画書を出すタイミングも大切になります。まずは組織の人に理解してもらう必要があるということです。[社長として一人で出ていけば、相手の組織はそれなりに処遇してくれます](p.148)。社内でも同様でしょう。

松本が出かけていくと、[ある程度の肩書の人が出てきますから、その人に対して私自身がビジネスプランです、と説明すればいい]のです。組織の決定も、「ある程度の肩書」をもった個人の意向が大きく影響することになります。「誰に」が問題です。

あとは「何を・どのように」書くかです。松本は言います。[企画書は平板に書いてもダメです。読ませたいところは簡潔に、データは緻密にと、濃淡をつけなくては。そして、大切なところは一行で表現する](p.147)。これが基本になると言ってよいでしょう。

      

3 核心となる内容を一行で表現すること

企画書をどう書いたらよいのかを考える場合、「誰に、何を、どう書く」のかが問題です。決定に影響を与える人から、賛同してもらうことが大切ですから、書く前にその人たちに話ができるなら、話をして賛同を得ることが必要になります。「誰に」が大切です。

それが決まったら、「何を、どう書くのか」が問題になります。これは「誰に対して、どういう切り口で示すのが良いか」ということです。自分がやりたいと思うことを、相手に合わせて変更するのではありませんから、切り口、見せ方がポイントになります。

やはり価値観の共有ということになるのでしょう。「大切なところは一行で表現する」とありましたが、これは原則です。一行で表現できなかったら、考えが明確になっていないということになります。シンプルで明確な内容であれば、すぐに伝わるでしょう。

いちばん大切なところで賛同が得られないなら、それは「誰」を変えるしかありません。決定するのは各人の意志ですから、賛同してくれる人を見つけることが大切です。そのためにも、核心となる内容を、一行で表現することが不可欠であると言えます。