■生成AIという手品の成功要因:多すぎる定型的な仕事
1 生成AIが担うのは仕事の補助
生成AIがどんどん進歩しています。エンジンが早くなって、さまざまな演算ができるようになっているのでしょう。機能を組合わせた作業ですから、今まで時間のかかっていたものも驚くスピードで処理します。すごいものです。ここまでできるのかと思います。
便利な機能がたくさんありますから、上手に使えば、仕事の補助として、強力な味方になりうるでしょう。当然ながら、生成AIがすべてやってくれるわけではありません。定型的な仕事を生成AIが担ってくれるので、自分の得意分野で独創性を発揮すればよいのです。
人間がメインの仕事をして、サブの仕事を生成AIが担ってくれるということになります。このあたりは最初からわかっていなくてはならないことでした。生成AIに丸投げして、独創的な仕事をしてくれることなど、期待していないでしょう。そう思っていました。
2 仕事ができる人かどうかのリトマス試験
生成AIのする仕事を見ると、できの悪い人よりも、ずっと良い仕事をするという人がいます。その通りでしょう。定型的な仕事は、機械に向いています。人間がかなうわけありません。微細な作業を機械化するのが当然のように、定型的な仕事は生成AIが得意です。
感覚、感情、ヒラメキ、従来にない新しい見通し、こうしたものは人間が形にすることになります。データや情報は増えていますが、それらを統合して何物かに作り上げるのは、おそらく今後も人間の仕事です。専門分野がある人なら、それがわかるでしょう。
ところが生成AIの使い方によって、「仕事のできる/できない」が決まると考える人が出てきたのです。面白いことに、これが人物評価の基準になってきました。いわゆる「リトマス試験」です。生成AIに頼る人は、仕事のできない人だと判断されてしまいます。
3 生成AIは定型的な仕事が得意
生成AIをどう利用するのが効果的かというのは、ムダな話ではありません。しかし、自分で全体を構想できなくては、利用してもうまくいくはずはないのです。人間が主体、機械が補助という関係は、今後も変わりません。このあたりの誤解が、まだあるようです。
生成AIを上手に利用すれば、抜きんでた成果を上げられるからと、生成AIへの質問法をどういう形式で行うのが良いのか、この点を教えてほしいと聞かれました。どうやら生成AIは人間を超えているから、個人の能力はいずれ関係なくなるのだと考えたようです。
そんな時代は来ません。何か新しいことや、重要な企画やプロジェクトについて、生成AIに丸投げしたら失敗します。既存のパターンを見つけて、整形するだけですから、創造的なものにはなりません。進歩が早いと、すごいと思い込む人がいるようです。
魔法のような話がウケますから、手品のような話には一定のニーズがあるのでしょう。しかし生成AIが業務の代替に成功しているのは、チャットボットやプログラミング、計算などの定型的な仕事だけです。いままで定型的な仕事が多すぎたということでしょう。
