■「何を書いたらよいのか」と「どう書いたらよいのか」の関係
1 文章が書けない二つの理由
文章を書く場合、書くべき内容がなくては、どうにもなりません。文章が苦手な人たちに、何がわからないかと聞いてみると、たいてい二つのことに行きつきます。「何を書いたらよいのかわからない」、「どう書いたらよいのかわからない」の二つです。
逆に言えば、何か書こうと思うことがあって、ある程度の書き方がわかれば、何とかなるはずだということになります。ビジネス文で書くことは、ビジネスに関することですから、ビジネスの視点が必要です。書き方は、わかりやすくということになります。
問題は、これをどうやって修得するかということです。いま、企画を立てる人から、リーダーの立場でどうしたらよいのかを考えるようにと、問題を投げられています。リーダーが部下の文章をチェックするということが一つ。もう一つの問題が出ています。
2 ビジネスマインドの養成
「何を書いたらいいのかわからない」という場合、書かれた文章のチェックよりも前にしなくてはいけないことがあります。文章チェックは、少なくとも文章が書かれることが前提です。しかし、書かれたものに、本来言いたいはずのことが書かれていません。
文章チェック講座を作るときにも、事前アンケートをさせていただくと、部下の文章をチェックすることだけでなくて、文章力養成を考えているというコメントがあります。これは当然のことです。この文章力養成の中に、何を書くべきかということが入ります。
法律にかかわる人ならば、リーガルマインドという言葉を聞くはずです。法的思考ができないと困ります。それは基本書もありますから、養成できるという前提になっていますし、実際に養成できているのです。ならば、ビジネスマインドも養成できるでしょう。
3 「何を書いたらよいのか」が優先される
ビジネスマインドというのは、マネジメント思考ができるということです。現状をあるべき姿に変えていく視点が持てるということになります。現状は、どういう状況であり、これをどういう姿に変えていくべきであり、それはどうしたらよいかということです。
思考の整理と、そのまとめができたなら、標準的な流れに沿って行けば、素直な文章になります。文脈は自然にということです。さらに一つひとつのセンテンスが問題になります。そちらはトレーニングが必要でしょう。適切なものならば、何とかなるものです。
法律の場合、法的三段論法という標準形がありますから、その流れに沿って文章を書いていけば、文章が組み立てられます。ビジネスでも同様に、マネジメント思考に基づいて、事実と意見の違いを峻別し、結論・根拠・経緯・展望にまとめていけるはずです。
こうしたトレーニングをどうすれば良いのか、実力養成をしたいとするならば、リーダーはそこまで考えることになります。大切なのは、まず「何を書いたらよいのか」を養成することです。それがないと、「どう書いたらいよいのか」が決まりません。
