■大きく考え、小さく始めるという原則
1 現状維持では衰退する
最先端の分野で活躍していると思われるビジネス人も、変化の激しいビジネス環境の中で、苦労しています。講義をしていても、企業幹部の人の話を聞いても、あるいは教え子と話しても、現状のままでよいという人はいません。現状維持ではいけません。
では、どうすれば良いのでしょうか。次の進むべき道が見えているわけではないのです。それを探しています。こうしたことは、いままでも同じだったのかもしれません。間違いないことは、現状維持では衰退するという前提が共有されてきていることです。
どうやら大きな変化がやってきているようだというときに、やはり大きく考えることが大切だろうと思います。歴史的に見ていくこと、前提から疑ってみること、こういう大枠の把握が必要になりそうです。同時に、実行はささやかにということになります。
2 ささやかに小さく素早く実行
今後どうなるかわからないというときに、従来の延長線上にビジョンを見出すのは、無理があるかもしれません。だからと言って、現状よりも良くなる変更でなくては、逆効果になります。見通しをどう立てるかが問題です。さらに検証が必要になります。
よくできた事例を見つけると、おそろしいほどピタッといっていることがあります。長持ちしている事例にはしばしば、ある種の発見と言いたくなるような、うまい仕組みが取り込まれているのです。偶然もあるでしょうし、つねに達成できるレベルではありません。
こうしたヒットも狙いながら、確実に安定的に成果を上げていくためには、頭の中で構想を立てるだけでなくて、実践して、反応を見なくては不安定になります。実行することが大切です。それもささやかに、小さく、素早くできることが必要になります。
3 たとえば2時間のトレーニング
大きな変化の中にいて、何とかしなくてはいけないという、やる気のある人は、様々な調査をするでしょう。これはただ事ではないと思うはずです。だから構想がどんどん大きくなっていきます。その結果として、壮大な計画が必要だと思いがちです。
しかし大きな変化というものは普通、ささやかなものが徐々に拡大していく過程をとるものでしょう。検証が不可欠です。数年がかりの改革になりそうな場合でも、まず手掛けるのは、2時間のトレーニングからになります。これを成功させることが大切です。
2時間で成果が上げられなくては、先に進みません。逆に成果があがったら、次につながります。意外にも、こうした小さなプログラムを作るのに苦労する方が多いのです。小さなプログラムを成功させて、地道に成果を上げていくことが改革の基礎になります。
大きく考えて、小さく始めるということを、よく知っている人達でも、実際に始めるときには、どうしても意欲が空回りしがちです。小さな成功は、積み重ねができますし、その結果として、小さくない成功になります。自分も含めて、なかなかできないことです。
