■技術大好きな会社の悩み:無責任な放談でのこと
1 自社技術にこだわる会社
日本メーカーの中でも飛び抜けて技術水準の高い会社の方が、自社技術にこだわりすぎていることを心配していたことがありました。コロナ前のことです。その後を見ても、相変わらず、技術開発が好きな様子が見て取れます。これはまずいことなのでしょうか。
中堅クラスの人たちが心配していたのは、当時、自社開発にこだわらずに製品発売を先行させて、将来性のある分野で、先行してシェア拡大を進めていた会社があったからです。しかし、その後を見ると、将来性があると思われたその分野は、拡大していません。
会社全体で見た場合でも、技術大好きの会社の方が伸びています。中堅の人達の心配は杞憂だったのかもしれません。ただし、これだけの技術力があったら、もっと世界的に発展していけるのではないかと、一部では期待をもっていました。その点では残念です。
2 操作性を軽視して敗れたメーカー
日本では、かつて技術中心でモノの価値を決める雰囲気は確かにありました。別の会社ですが、やはり特許をとるのが大好きな会社で、営業部隊の人達から、製品の操作性をないがしろにしているという訴えがありました。操作性を向上させたいのだということです。
しかし結果として、この人たちの主張はあっさりと却下されてしまいました。当時から、将来の収益の柱になると言われた分野でしたが、その後、他社に席巻されていくことになります。何でこんなことになるのかと、いたたまれない気持ちで見ることになりました。
当時は、ほぼ自社技術で製品を作れましたから、技術力の勝負だという意識はあったのだろうと思います。その後にお会いした、先に書いた技術大好きの会社の人たちは、この件、ご存知でした。自社技術だけでは限界があることは、もはや常識になっています。
3 少数に集中的な権限を与えることの難しさ
様々な技術やノウハウを持つ集団があって、それを統合しないと市場で際立った成功をする製品が作れません。統合が問題であるという意識は、すでに常識といってよさそうです。実際、技術大好きの会社はその後、いくつかの提携を進めています。
たまたま提携した領域が、少しだけ知る分野でしたので、この提携の将来性を聞かれました。結論を言えば、たぶん成功しません。統合した結果、生み出されるはずの製品イメージが、どう聞いてもよくある話にすぎなくて陳腐です。何年かかるのだろうと思います。
来年とか2年後に、小さくても何らかの成果があるのなら、それは期待できますが、そうしたステップ式の成功モデルが提示されていないのです。ヘタすると技術だけ相手に吸収されて、実際の製品開発につながらないのではないかと、懸念を伝えました。
彼らは自社のことですから、よくわかっています。技術大好きが支えとなって、国際的な提携になりましたが、少数の人に権限を与えて、企画を立ててもらう体制を作るのが難しいということでした。以上、無責任なやり取りです。ただ、弱点が見えて来る話でした。
