■経営分析に使う計算式と数字:数字に対する感覚を鍛えること

      

1 計算は小学校レベルで十分

経営分析に使う数学は、高度なものではありません。部門の長ならば、当然、知っています。正確なデータさえあれば、難しい計算式を使う必要はないのです。論理的な思考さえできていれば、理系だ文型だというレベルではありません。シンプルなものです。

この点について、誰かが書いていたはずだと思いながら、まあいいかと、そう気にもせずに放置していました。あっけないものです。別のことで大前研一の『考える技術』を手にとったところ、そこにありました。たった2行でしたが、印象に残っていたようです。

[経営の仕事など、小学校で鶴亀算ができたのならそれで大丈夫だ。あれより複雑な計算が必要なことなど、実際の経営ではめったに起こらない](p.156)。経営には科学的思考が必要であると大前は主張しています。それは論理的思考だということでした。

      

2 経営指標となるデータ

科学の方法というのは、検証可能な方法であるということです。こうした方法に従って、実践した結果を検証して、正しさを確認していきます。ビジネスで通常なされていることです。リーダーになったら、経営指標となる数字を把握するのは不可欠なことでしょう。

今回、こんなことが気になったのは、そもそもの基礎になるデータについて、問題のある事例があったためでした。システムの操作法がかなりいい加減で、集計データに信頼がおけなかったのです。これでは指標になりません。数学の計算以前の問題です。

こういうとき、どうすればよいかは明確でしょう。システムの操作方法を標準化して、データをきれいにするしかありません。データがおかしいということに気がつくことが大切です。複雑な計算のできる人が、データのおかしさに気づかないのは不思議でした。

      

3 数字に対する感覚

出てきた数字に対する感覚が問われます。何だか変だぞという感覚が働けば、データ自体がきちんととれているのか、確認できたはずです。データがあてにならないのは、かなり多くの人が気づいていた様子でした。しかしリーダーが気にしていなかったようです。

数字に対する感覚が欠如すると、大変なことになります。これは売上と利益に関して、よく言われることです。売上を追求して、利益を圧迫しているケースや、あるいは利益率を高くしようとしたために、売上が急落して、結果として利益が減少した例もあります。

需要と供給の関係が頭にあれば、経営するときに、どのあたりに良いバランス点があるのか、考えるはずです。これらは数学的な計算能力ではなくて、数字に対する感覚、論理的な思考といったものになります。その感覚を磨くことが大切だということです。

オーナー経営者の中には、こうした数字の感覚が良い人がいます。理科系の人がとくに優れているということはなさそうです。目標と結果について、本気で考えていると、こうした数字の感覚が身につくのではないかと、オーナーたちを見ていると、そう感じます。