■業務マニュアルの作ることは業務改革を行うこと

     

1 業務マニュアルと改善・改革

業務マニュアルは、改定を前提とするものです。ビジネス環境は変化していきますし、より良い仕事の仕方を考えていく必要がありますから、業務をつねに見直すことになります。業務マニュアルを作るということは、業務を標準化するということです。

まず業務を標準化していくことから始める必要があります。標準化されているからこそ、改善をして行けます。改善では限界だとになったら、また業務全体を見直して、業務マニュアルを作り直すことになるでしょう。これが業務改革です。

業務マニュアルの観点から見ると、業務改善は、業務マニュアルの改定であり、業務改革は、業務マニュアルの作りかえということになります。業務を標準化して、「見える化」するからこそ、改善が可能になり、改善では限界だと、見えて来るということです。

      

2 現場主義の前提に変化

最近、何件か業務マニュアルの作りかえの話を聞きます。以前の業務マニュアルでは、もはや現実に対応できないということです。漠然と標準的な業務の仕組みはできていますから、個々人の努力で何とか業務をこなしているという状態でしょう。

日本では、現場主義がよく言われてきました。現場での経験を積み重ねてきた人達が職場にいる場合、業務が標準化されていなくても、何とかなります。経験を活かして、何とか対応できてしまうからです。これは大変な強みですが、そんな職場はもはやありません。

担当者が入れ替わりますし、仕事自体が変わっていきます。変化が大きくなれば、現場主義を維持することは難しいでしょう。現場主義の前提が崩れた場合、各人の工夫による対処は、不可能です。名医の治療ではなく、標準治療に変わったのと同じ変化が起きます。

     

3 業務マニュアル化は業務改革

業務改革をする場合、叩き台となる業務マニュアルが作られなくては、スタートラインに立てません。少なくとも、そんなつもりで仕事を始めなくては、不安定になります。これで行くぞという業務の仕組みが必要ですし、それを記述したものが業務マニュアルです。

業務マニュアルを作り替えるということは、本来、業務を改革することといえます。しかし、実際には業務マニュアルの作りかえ作業をする人たちは、業務改革をしている意識はありません。業務マニュアルが整備されていなかったから、整備するという意識です。

すでになされていた業務の仕組みを、記述していく作業をしています。その過程でいくつかの仕組みが修正されることになるでしょう。これは標準化の作業ということです。現在の仕事が標準化されていないから、マニュアル化を進めている状況といえます。

業務の標準化がなされていない状態から、標準化がなされた状態になるのですから、これは業務改革といってよいでしょう。そのくらいインパクトのあることを行っています。もし改善の仕組みを組み込むならば、大きな変化が起こることは間違いありません。