■モノ・サービスの周期「導入期・普及機・成熟期」と予測
1 導入期・普及機・成熟期
モノやサービスには、ある種の周期があります。それが今後の変化を予想する際の判断材料になるかもしれません。例えば、モノ・サービスが導入される時期があります。新しい便利なもの、魅力的なものが登場した場合、一生懸命導入しようとするでしょう。
導入する側が努力しますから、いずれは導入に成功します。これが導入期です。導入に成功して利用するうちに、ここをこうしてほしいという要望がでてきます。どこをどうするといった競争が起きて、普及の進む時期が普及期です。この時期は改善点が見えます。
こうしてモノやサービスが普及し、改善点を修正して定着してくる時期がやってくると、そろそろ成熟期といってよいでしょう。なくては困るけれども、何となく微妙だなあと思うところがあっても、なかなかこうしてほしいと言いにくい状況になります。
2 新しいものの登場が予感される時期
モノ・サービスが導入され、改善競争をしながら普及し定着してくると、成熟期がやってきて、何らかの状況に変化が起こってくるものです。モノ・サービスの構造や機能が、根底から変化する予感を感じさせる時期がやってきます。成熟期で終わりにはなりません。
新しいものが生み出される前に、当たり前になったモノ・サービスが存在し、いくつかの大切な問題点が指摘されることになります。これが成熟期です。新しい機能がついて、最先端のものが発表されても、ある頃からアピールしなくなることがあります。
そうなったら、そろそろ新しいものの登場が予感される時期だと言えるでしょう。その頃には、たいてい誰かが、新しいものを準備しているものです。あるいは、すでに登場していても、まだ注目されていないだけかもしれません。しかし、いずれ変化は起こります。
3 どんな風に、いつ頃、変化するかを予測
新しいモノ・サービスの登場を予測する場合、こうした発想で見るのも有効なはずです。個別の分野について、今後どうなるかを予測してみるのも面白いことでしょう。すぐに次世代のものが登場すると言われながら、従来のものが生き延びる場合もあります。
例えば携帯電話は、どうでしょうか。高性能で高額のものなどいらないという人向けに、いくつかの機種が用意され、その一方で、高級機もまだ人気があります。普及率の高さから、利用者の多様化がみられますから、新規参入のチャンスもありそうです。
業務システムに関しても、スクラッチ開発が主流でしたが、そろそろ大型開発が必要ない組織も増えてきています。AIの利用で、プログラムが組めますし、ローコード開発も可能です。少数の能力ある人がいれば、大勢のプログラマーは不要になるかもしれません。
自分の把握している領域について、こんな視点で見ていくと、どんな変化が、どのくらいの時期にやってくるのか、ある程度の予測が立ちます。しかし、予測は多くの場合、外れるでしょう。だから間違いの検証が必要です。こんな練習を、私達はやっています。